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ポストコロナの世界に生きる人たちが、民主主義にこだわらなくなる可能性は大いにありうる。  そろそろ私たちは、「その後」について真剣に考える時期に来ているのではないか。
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花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

抜粋③ 『代表性民主主義はなぜ失敗したのか』藤井達夫著、集英社新書、2021.11.22. pp.234-36 新型コロナのパンデミックは、現在の惨禍が過ぎ去った後の民主主義諸国において、民主主義の退潮をさらに推し進めそうだ。 pic.twitter.com/PLSHqUelUQ

2021-12-31 15:33:55
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花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

長期にわたる感染症対策の中で、自由が大幅に制約された例外状態が常態化することになった。例外状態の常態化は、21世紀の世界において「テロとの戦争」を通して試みられてきた。「テロとの戦争」が枯渇した現在、例外状態の常態化のために新たに発明されたのが「ウイルスとの戦争」というわけだ。

2021-12-31 15:35:53
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

この闘いにおいて統治する側では、人々の行動を監視し管理するテクニックやテクノロジーを活用していった。そして、それらは今後も、決して手放されることなく、さまざまな場面でことあるごとに再び利用されるだろう。

2021-12-31 15:37:07
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

例外状態に慣れてしまった人々が、安全と引き換えに、自由を手放すことを厭わなくなることは十分考えられる。また、そのような人々は自由を可能にしてきた共有のものの私物化に対してこれまで以上に無頓着になり、ひいては、権力の私物化に対抗する必要性をそれほど感じなくなっても不思議ではない。

2021-12-31 15:39:06
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

ポストコロナの世界に生きる人たちが、民主主義にこだわらなくなる可能性は大いにありうる。  そろそろ私たちは、「その後」について真剣に考える時期に来ているのではないか。

2021-12-31 15:40:25
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

「その後」の最大の懸念こそ、民主主義諸国に暮らす人々が自由の制約された生活に慣れることで、民主主義への支持や関心をこれまで以上に喪失してしまうということなのだ。

2021-12-31 15:41:46
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

新型コロナとの闘いという例外状態の中で、自由や民主主義的価値がどの程度毀損されたのか、それらを守るための手続きや制度がどう歪められたのか、真剣な反省が急務となるはずだ。

2021-12-31 15:42:55
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

第5章、行き詰まる代表制度とポピュリズム p.152 現在の代表性民主主義は、ポピュリズムという病に苛まれている。その結果、代表制度は民主主義の理念を実現できなくなっているだけでなく、民主主義そのものを蝕み破壊する最大のリスクとなりつつあるように見える。

2022-01-01 19:44:52
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

本章では、ポピュリズムは選挙を中心にした代表制度の下での民主主義に固有の病状であるという理解から出発する。その症状は、権力の私物化として発現し、病が進行すれば、専制政治という形で民主主義は死を迎える。ポスト工業化した民主主義諸国では、代表制度の病の発症を封じた諸条件が消失する。

2022-01-01 19:49:38
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

代表制度は、第二次世界大戦後の福祉国家の下、政党政治が機能することで最も民主ぬ的なものとなった。背景にあったのは、工業化社会の発展とその完成であった。1970年代以降、グローバル化と新自由主義化の下で工業化社会からポスト工業化社会へ漸進的な移行が始まった。

2022-01-05 16:37:43
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

ポスト工業化した民主主義諸国では、代表制度の病の発症を封じた諸条件が消失する。私物化を禁じ専制政治に対抗するという民主主義の理念を現代において実現するには、工業化社会を前提にしたこれまでの選挙中心の代表制ではもはや限界がある。

2022-01-05 16:39:42
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

代表制度が社会に存在する集団間の対立を政党間の政治的対立に転換することで、社会内部の紛争は、普通選挙を出発点に、政党間の交渉と妥協、取り引きをとおして平和的に解決することが可能となる。 リプセットとロッカンは政党システムの「凍結」について論じている。

2022-01-05 16:40:38
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

それは、政党間の中心的な対立が、社会内部のさまざまな対立の中でも、経済的な利害対決へと最終的に収斂し、それが長期的かつ安定的に持続する状況を意味する。その結果、政治の主要な争点が経済的な富の配分の問題に固定化されることになる。

2022-01-05 16:41:47
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

この対立は、自由主義政党ないし保守政党と呼ばれる雇用者の政党と、社会民主主義政党ないし革新政党と呼ばれる労働者の政党によって担われる。戦後日本では、政党システムの凍結は、戦後五五年体制として実現された。

2022-01-05 16:43:09
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

政党システムの凍結を可能にした条件、すなわち、経済的な富の配分を政治の主要な争点にさせた条件とは何であったのか。そして、背景の変化に伴いその条件はどのように喪失されていったのか。

2022-01-07 17:32:47
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

福祉国家が社会問題を統治するエッセンスは、国家が市場や家族などに積極的に介入し管理することによって、見知らぬ人々の間の相互依存関係として把握された「社会的なもの」の安全を守ることを第一の使命とする点にある。

2022-01-07 17:33:46
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

まず、福祉国家の下で暮らす人々には、社会権を有する社会的市民(社会的なものの構成員としての市民)という法的地位が保障される。日本国憲法でいえば、生存権に始まり、教育を受ける権利、労働する権利などがこの社会権に当たる。

2022-01-07 17:35:46
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

次いで、この社会権に基づき、社会保険と社会福祉事業が国家の責任の下で制度化される。最後に、ケインズ主義だ。政府が自由競争を原則にするはずの市場に介入し、財やサービスの交換に対する規制をかけることで市場を管理調整する。

2022-01-07 17:36:22
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

介入と管理をとおして、人々の生活の安全を守ると同時に、市場による社会の破壊を防ぐことを目的とした社会・経済政策。これが、ケインズ主義である。こうした福祉国家の統治を実現させたのが、雇用者と労働者間の合意であった。

2022-01-07 17:37:01
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

これによって、雇用者側が、政府の介入政策を是認する一方で、労働者側が革命を放棄し、資本主義市場経済の下での民主的な改革をとおして社会問題を解決する道を受け入れることになった。

2022-01-07 17:37:38
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

戦後和解体制は、確固たる支持基盤を持ち、社会に根を下ろした政党と、政権交代によって社会の内部の紛争を平和裏に解決させることを可能にする選挙という二つの装置に支えられる。その下で福祉国家は、安定した統治を継続することができた。

2022-01-07 17:38:11
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

すなわち、自由主義政党と社会民主主義政党とが経済的な富をどのように配分するのかを争点に、定期的に行われる選挙によって政権の座を獲得するべく競争する。選挙に勝った政党がその公約(雇用者や資産家の利害をより重視した政策か、

2022-01-07 17:39:09
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

労働者の利害をより重視する政策のいずれか)に基づいて福祉国家を運営する。戦後和解体制下での福祉国家を条件にしてはじめて実現された例外的な時期だったといえる。その背景には民主主義諸国における工業化の成功があった。

2022-01-07 17:51:01
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

交換と分業を中心とした18世紀の商業社会(アダム・スミスが念頭に置いていた社会)に代わって登場した工業化社会では巨大な機械を用いた大規模な生産がその中心的な活動となった。工場労働者による画一的で低価格な製品の大量生産と大量消費。

2022-01-07 17:52:11
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

フォーディズムとも呼ばれるこうした社会の工業化は、かつてないほどの莫大な富を蓄積させた。工業化社会の最大の特徴は、18世紀にヨーロッパやアメリカで開始された近代化によって不安定で脆弱になった人々の生活を再び安定化させ、安全を提供した点にある。

2022-01-07 17:59:18
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

近代化は社会の自由化であると同時に「液状化」(バウマン2008)であった。近代化は社会の自由化(社会からの脱埋め込み)であった。これに対qして、19世紀の後半以降の工業化の進展によって人々は社会の内部に再び埋め込まれ始めると同時に、その生活を安定的なものにするための制度や慣行の確率など、

2022-01-07 18:18:47
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

さまざまな取り組みが行われた。その中心となったのが、福祉国家の形成に他ならない。代表制度の黄金期を産み出した条件は、液状化した社会を堅固な檻によって再度組織化し直そうとする、工業化社会の壮大なプロジェクトの産物だった。

2022-01-07 18:19:34
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

政党システムの凍結、そして第二次世界大戦後の労使間の和解が可能になるそもそもの前提が存在する。それは、社会が雇用者ないし経営者という二つの大集団によって形成されていること、さらに、主要な政治的対立がそれらの二つの集団の間で産出される富の配分をめぐるものになることである。

2022-01-07 18:20:28
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

この前提は、社会の工業化によってもたらされた。賃金労働者と雇用する経営者とは、工業化社会の発展の中で初めて誕生した集団だからである。人々は、労働者という集団として、工場を中心にした共同体に埋め込まれた。

2022-01-07 18:21:29
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

政治の主要な役割は、民主的な政府を仲介役に、社会を二分する勢力の利害調整に収斂する。これらは、18世紀の以来の液状化した社会を再組織化するための企てとして説明できる。

2022-01-07 18:22:00
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

福祉国家は不安定で危険な社会を再組織化するために発明された最大の装置であった。社会の工業化の中で、この福祉国家が形成され運営されるための土台が生み出されていった。社会的自由主義といったイデオロギーや個人を責任ある主体へと行為を導く規律の諸テクニック、

2022-01-08 15:32:00
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

そして家族に介入し、管理するための具体的な法体系や行政指導などはその一例だ。福祉国家を運営するには、増大する富、すなわち、経済成長を必要とする。国内の治安と国外の安全保障を主な任務とする夜警国家に比べ、福祉国家には膨大な財政的基盤が不可欠である。

2022-01-08 15:32:28
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

労働者はたんに大量生産を担うだけでなく、政府の支援の下での安定した雇用と伸び続ける賃金によって国内で生産された財を大量に消費する集団となる。ここに豊かになった労働者から成る中産階級が誕生する。

2022-01-08 15:32:58
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

工業化社会の成熟が産み落としたこの中産階級こそ、福祉国家の安定的な運営を支える中心となった。  日本の事例 高度経済成長期を経て、日本の工業化は1980年代にそのピークに至った。戦後五五年体制はこの工業化なしには成立しえなかった。

2022-01-08 15:33:27
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

戦後五五年体制は、1955年、それまで分裂していた社会党が日本社会党として統合されるのを受けて、同年、民主党と自由党とが合流し自由民主党が誕生することから始まる。この安定した政党政治の下での代表制度(実質的には自民党の一党優位体制であったが)が、戦後五五年体制であった。

2022-01-08 15:33:59
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

五五年体制の成立と発展は、社会の工業化を背景にした戦後和解体制と、その下での福祉国家を条件としていた。賄賂と汚職まみれの政治は、昭和の終わりにリクルート事件において絶頂を迎える。これを機に、五五年体制は一気に終演へと向かい、昭和の時代の代表制度の本格的な改革が始まることになる。

2022-01-08 15:35:08
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

その改革の帰結が安倍政権による権力の私物化であった。工業化社会という背景は、現在の日本からはもはや消失してしまった。工業化を成し遂げた多くの民主主義国は、1970年代に端を発する不況を通して、徐々にポスト工業化社会へと移行していく。(日本での移行は1990年代)

2022-01-08 15:35:45
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

規格化された商品の大量生産を行う製造業中心の産業構造は、サービスや知識、情報を主体にしたいわゆる第三次産業を中心とする構造へと次第に転換されていった。一方、ポスト工業化社会における消費行動は多様化していく。テクノロジーの進展が、少量多品種生産を可能にしたからだ。安定的な

2022-01-11 02:56:49
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

1980年代以降の、ポストモダンとも呼ばれたこの社会状況は、代表制民主主義に多大な影響を及ぼした。ポストモダンの下で民主主義の理念に対して代表制度を適合的な制度としていた諸条件は消失してしまった。代表制度は、民主主義の制度として果たすべき機能の不全状態に陥った。

2022-01-11 03:15:42
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

ポスト工業化社会に浸透したは、人々のアイデンティティを多様化させ、個人化させていった。それとともに、政治争点も、富の配分に関わる経済的な問題から、アイデンティティ・ポリティクスといった承認の問題へとその比重を変えていくことになった。

2022-01-11 03:15:43
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

ポスト工業化社会への転換の中で生じたのが、工場という工業化社会の象徴的な場の衰退であった。工場こそ、人々を規律化し、共通のアイデンティティを付与することで、労働者という一大集団を誕生させた場であった。

2022-01-11 03:15:43
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

国内工場の後発の工業国への移転や規模の縮小で、労働者は次第に脱集団化され、再び個人化(脱埋め込み)された存在となっていく。同時に、労働組合は必然的にその規模と影響力を縮小していくこととなった。

2022-01-11 03:15:43
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

ポスト工業化社会の個人化=脱集団化の傾向は、1980年代以降多くの民主主義国で、歪な形でさらに加速させられる。その政策こそ、新自由主義であった。新自由主義が社会と政治の私物化を推し進め、政治は決断主義化した。新自由主義は、福祉国家を解体するために、社会的な相互依存関係を破壊した。

2022-02-06 21:15:33
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

新自由主義は自己責任の下で選択の自由の最大化を目指した競争へと駆り立てる。人々は個人化=脱集団化されるだけでなく、分断され反目し合うことになった。  ポスト工業化社会への転換と新自由主義の導入は、代表制度の黄金期を支えた条件を消失させた。

2022-02-06 21:16:08
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

脱物質主義が広く浸透することで、代表制度の下での政治が解決すべき社会の主要な争点は、経済的な富の配分に収斂することなく多様化した。それは、政策を立案し実行する上で政府に対して過剰な負荷をかけることになり、「ガバナビリティの危機」を促した。

2022-02-06 21:16:34
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

工業化社会を支えた工場労働者の減少および労働組合の縮小は、社会民主主義政党を一方的に弱体化させ、政党は人々の日常生活との結びつきを弱めつつ、執行権力を行使する政府の首長に従属するようになる。その結果、政党はもはや政治と社会との媒介機能を果たせなくなった。

2022-02-06 21:16:56
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

また、選挙は、政策によって政権政党を選択し、自らの属する集団の利害を実現する機会ではなく、政府の首長をそのパーソナリティを頼りに選択し、有権者自らの社会的アイデンティティを追認する機会となった。

2022-02-06 21:17:25
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

代表制度を民主主義の制度として機能させていた条件が消失したのだから、代表制度がその機能を果たせなくなるのは必然のことであった。その帰結は、共有のものが私物化され、専制政治がはびこる時代の再来である。事実、この事態は、現在の民主主義諸国においてポピュリズムという形で出来している。

2022-02-06 21:18:32
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

有権者の受動性と代表者の能動性という関係性を基盤にした「観衆民主主義」の特徴は、政策よりも政治リーダーのパーソナリティが重視される点にあった。ここから帰結するのが、選挙の形骸化である。選挙がアイドルの人気投票あるいは有権者のアイデンティティの承認の機会になってしまった。

2022-02-06 21:19:00
花びんに水を☘ @chokusenhikaeme

ポピリュズムと呼ばれてきた政治運動では、その語源であるピープル…ラテン語ではポプルス(populus)あるいはプレブス(plēbs)に当たる…すなわち「人民」が言及されてきた。例えば、その運動では既成の政党や政治家、あるいは社会的・経済的エリートによって奪われた権力を本来のその所有者である人民に

2022-02-06 21:22:34

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