怪談作家を志す方も増えてきて頼もしい限りなので、コンテスト応募者を念頭に「怪談(書き方)豆知識」的なことなどを。
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加藤AZUKI @azukiglg

青くなりました(`・ω・´) blueskyアカ取れました。 Threadsとかにもいます。

twilog.org/azukiglg

加藤AZUKI @azukiglg

「小説の文章力って「比喩」とか「文体」と思っちゃうけど本当はこういうことなのでは?実際の編集さんのコメントがとても勉強..」togetter.com/li/1811715 をお気に入りにしました。

2021-12-05 09:04:17
さとり @zgmf_x13a

@azukiglg 研究レポートは再現性が大事ですが、実は創作小説も誰が読んでもある程度同じ映像が脳内再生できるように書かなければいけませんね。 二次創作は原作の共通認識でそのあたりを省略できるので、比較的書きやすい創作文章ですね。

2021-12-05 09:07:52
加藤AZUKI @azukiglg

@zgmf_x13a それはご指摘通りで、小説は「人心を描くもの」だけど人心を描くために直接的にそれを描くのでなく、舞台装置や背景を描くことでそこに人心の落とす影を汲み取り、影から本質を読者に補完連想させるのに成功すると「染み入るいい文章」と言われ失敗すると「何言ってったわかんね」ってなる

2021-12-05 09:19:18
加藤AZUKI @azukiglg

余談だけど、実話怪談は幽霊やら金縛りやら出てくるけど、それらを「幽霊が出て金縛りに遭った」と直接的に書かず、それらの完結した単語を避けてしかしそこに起きている異常さを際立たせる辺りに、書き手の腕前が出る気がする。

2021-12-05 09:22:52

怪談のサゲについて

加藤AZUKI @azukiglg

あと、怪談のサゲ。余韻とその後に起きる「文章として書かれていないところを読者に想像させる力」みたいなの。 僕がお仕事ご一緒してる怪談作家さんの中だと、ここらへんが抜群にうまいのが高田公太氏、つくね乱蔵氏で、つくね氏の新刊は月末に出ます(宣伝 amazon.co.jp/%E6%81%90%E6%8…

2021-12-05 09:24:49
加藤AZUKI @azukiglg

怪談のサゲで多いのは、 ・と言ってグラスを置いた(呷った) ・そのアパートは取り壊されてしまった ・それを最後に連絡が途絶えた ・消息は分からないままだ とかなので、これを避けて行間を読ませる(想像を促す)とワンランクアップします(`・ω・´) #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 10:23:15

人物造型を手早く認識させるには

加藤AZUKI @azukiglg

黎明期の「超」怖い話の冒頭は、 「○○(職業)の××さん(個人名・仮名)が△△の頃(その個人の体験時の年齢、または体験時の年代)」 という一文から始まることが多かった。 #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 10:26:59
加藤AZUKI @azukiglg

これは二代目編著者の樋口さんが多用してた「一行で主人公の立ち位置のきっかけを理解させる」という手法で、その頃の実話怪談は今ほどに長文でなく、だいたい1話4頁くらい、6頁になると長い部類に入るくらいに1話に割ける行数が多くなかったので編み出された技術。 #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 10:28:18
加藤AZUKI @azukiglg

また、登場人物が男性なのか女性なのかは、「○○さん」というだけだと分かりにくい。手っ取り早く識別させるのは、「彼は」「彼女は」という代名詞。これを固有名のすぐ後くらいに挟んで、読者による登場人物への性別認識を早い段階で確定してしまう。 #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 10:30:52
加藤AZUKI @azukiglg

異論のある人もいるだろうけど、性別が決まると「社会的立ち位置」「日常生活の光景」「立ち居振る舞い」など、ある程度を読者が想像して人物造型の類型を用意しやすくなるため。「彼女」「子どもを迎えに」「夕飯の支度の買い物」で【主婦】と書かずに主婦と気付かせるとか #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 10:33:38
加藤AZUKI @azukiglg

とはいえ、代名詞の多用は場面によっては混乱を生む。 同じ性別(例えば女性)の登場人物が二人以上いる場面で、「彼女」だけを乱発すると、どちらの台詞や行動やリアクションを描いてんのか分からなくなる。 #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 10:35:47

と言ってグラスを置きがちな理由

人生の黄昏(常時フレーメン反応) @yuki76y

読者としては、このオチがあると「嘘(創作)やな…」となってしまう。実際の怪異体験はなんのオチもないですからねぇ… twitter.com/azukiglg/statu…

2021-12-05 10:29:44
加藤AZUKI @azukiglg

@yuki76y 「と言ってグラスを置いた(呷った)」が割と多いのは、飲み屋で取材する、飲み屋で知り合った人から酒の勢いで出てくる話を聞くっていう機会が割と多いからってのはあるかも。 体験者がまだ存命であることを示し、同時に「元ネタを語った体験者と取材者(著者)が邂逅した事実」を示唆してるんですよ

2021-12-05 10:39:46
人生の黄昏(常時フレーメン反応) @yuki76y

@azukiglg ありがとうございます。私も「嘘やな」とか言いながらも、怖すぎる話の時は「嘘であってくれ!!!」と思いながらオチまで読むんですが、そういう話は救いないまま終わるのが多かったりしますね

2021-12-05 10:44:25

昔の怪談はなぜタイトル出オチだったのか

加藤AZUKI @azukiglg

昔(80年代より前)の怪談は、 ・タイトルにオチが書いてあった ・タイトル直下の見出しにあらすじが書いてあった ・読者はタイトルのオチを折り込んで読み、タイトル通りのサゲに安心する という構成が多かったんすよ。 @yuki76y #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 10:46:18

「二度以上読める怪談」を追い求めた試行錯誤の果て

加藤AZUKI @azukiglg

でもそれだとサプライズ感がない。 読者が予め身構えちゃうので。 それで、「タイトルからオチが連想できないか、かなり困難」「見出しにあらすじを書かない」というスタイルが出てきたのが90年代の怪談。新耳袋や「超」怖い話(勁文社版)の頃。 @yuki76y #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 10:47:32
加藤AZUKI @azukiglg

怪談本はびっくり箱と同じで、タネが割れると二度目は驚きがないから二度読めない。となると、二度読まない本は転売されちゃうんですね。 そこで、「二度以上読める(転売されにくい)怪談(の書き方)」が発達していったんだと思います。 @yuki76y #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 10:48:51
加藤AZUKI @azukiglg

「転売されにくい」っていうのは営業上重要でw、コレクターが手元に止めてくれずに転売されると、古本屋で繰り返し買われても著者の糧にならず、部数が伸びないので次回作にも影響が……。 なので、どうにか「手放されない怪談(本)」が期待され。 @yuki76y #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 10:50:12
加藤AZUKI @azukiglg

そこでサゲの話にも繋がってくるんだけど、著者が「この出来事はこういうことだった!」と明確に決め打ちしちゃうと、サゲが完全に確定するので、その怪談は読者にとって【二度も読む必然性がなくなる】んですね。もうオチ分かってるからいいや一度で、ってなる @yuki76y #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 10:51:35
加藤AZUKI @azukiglg

だけど、サゲが曖昧になってくると、「もしかしたらこうだったのでは?」「この後、こういうことが起きたのでは?」「過去にはこういう前提があったのでは?」というようなことを、読者が推理する余地が生まれる。 著者が答え合わせをしない場合、何度も楽しめる @yuki76y #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 10:52:49
加藤AZUKI @azukiglg

まあ、そういうこともあって、「サゲが不明瞭なまま終わる怪談(の書き方)」が増えたんじゃないかなー、とは。 もっとも、前日譚や後日談が明確で、原因も解決方法も全て詳らかになる綺麗な話は稀なほうで、「よくわからずに起こり、解放される」方が多い。 @yuki76y #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 10:54:17
加藤AZUKI @azukiglg

なので、読者に放り投げて終わらせる形のサゲが増えていって、結果似通ったサゲが多くなってしまった、というのはあるかもです。 @yuki76y #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 10:55:13

近年再び「あらすじ」が書かれるようになった理由

加藤AZUKI @azukiglg

ちなみに、00年代から10年代に入るとまた事情が変わってきてw 特に怪談本の書籍帯とか新刊紹介とかでは、もうほとんどサゲの直前くらいまであらすじとして書いちゃってる宣伝文が復活するようになりました。 タイトルに「白い着物の女」と書いちゃってる例とか @yuki76y #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 10:56:44
加藤AZUKI @azukiglg

僕は「怪談のサプライズ感を弱める」のでどうかなーとは思うんですが、今は読者の側が「そんなことはいいから早くオチを教えろ」という焦燥が強くなってるんだそうで。 @yuki76y #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 10:58:02
加藤AZUKI @azukiglg

これは、「消化すべきコンテンツがたくさんありすぎるから、ひとつひとつにあまり時間を掛けたくない」「予め予備知識があったほうが理解しやすい」という傾向の読者が増えたからではないか、と言われているそうです。 @yuki76y #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 10:58:45
加藤AZUKI @azukiglg

分かりやすいところで言えば、長文タイトルのなろう系ラノベ。 第一話冒頭とか、プロローグとか作品の導入部相当の設定が、そのままタイトルになってるラノベ増えましたよね。あれは、書店(や連載サイトの一覧)でタイトルで内容の大まかが把握されやすいから。 @yuki76y #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 11:00:10
加藤AZUKI @azukiglg

そういうものに慣れた読者が活字商品の主購買層になってきているので、「タイトルや帯、宣伝文で、内容のあらましをある程度把握させる」というのが復活してきている、とか。 @yuki76y #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 11:01:57
加藤AZUKI @azukiglg

このへん、「売り方」の問題と絡んでくるところだけど、時代時代で求められるものや読者の傾向が変化していくことに対応するため売り方も変転し、それに合わせて書き方も変わっていくのは興味深いところです。 @yuki76y #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 11:02:10
加藤AZUKI @azukiglg

以上、「怪談のサゲ」から始まる小咄でした。 @yuki76y #怪談マンスリーコンテスト

2021-12-05 11:02:34
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まとめたひと
加藤AZUKI @azukiglg

安全保障趣味者。 平和を希求するより安全を確保するほうが現実的。 全ての理想はコストに見合う範囲でなら実現を願うべき。 分を知り、身の丈に合うことをしましょう主義者。 集合知と猫の下僕。 Tweetの利用はご自由に&計画的に。