皆様の投票で展開が決まる、読者参加型の小説を連載しております。 〈僕は、自分が飼っているのは柴犬だと思ってた。でも叔父さんは言ったんだ。この犬はケルベロスだって――〉 これは予測不可能なボーイミーツドッグなファンタジー。 FF外からの参加、一話だけのお試し投票も大歓迎。 ただいま毎日更新中です! 続きを読む
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東洋 夏 @summer_east

◇ 疲れ知らずの豆が次の天馬に飛びかかっていく。僕は負けじとカードを掲げて叫んだ。 「天馬のジャック、僕を乗せてくれ!」 真っ白い天馬が僕の呼び掛けに応えて舞い降りてきた。間近で見る天馬は予想以上に大きい。 「僕を……うわあっ」 ジャックは口で洋服の襟をつまんで僕を後ろに放り投げた。

2020-02-21 07:01:58
東洋 夏 @summer_east

必死に首にしがみつくと、ジャックは身を震わせてから宙に駆け出した。ホールの中なのに、風を感じる。ジャックの背中で味わう空気は、春の野原の香りだ。 「うおん!」 僕を現実に引き戻してくれたのは、豆の一声だった。 「いけない。カードを取らなきゃいけないんだ。ジャックお願い」 「ちっ!」

2020-02-21 07:01:58
東洋 夏 @summer_east

「えっ、舌打ち……?」 ジャックはストンと地面に降りた。僕は目が回っている。 豆の追撃をかわした残りの二頭も地面に降り、ペっとカードを口から離した。 「合格」 レオンさんが手を叩く。 「ジャックは羽根に〈魅了〉の魔力を持ってるんだ。見事に打ち勝ったね少年。あと、わんこ」 「うおおん!」

2020-02-21 07:01:58
東洋 夏 @summer_east

……それで、今日は帰らせてもらえることになった。明日からは本格的にしごかれるんだろうな。 サーカスの事務所を出ると、シュシュさんが待っていてくれた。 「お疲れ様。お話ししたいんだけど良いかな? できれば静かなところで」 シュシュさんと二人きり(豆もいるけど)! ちょっと僕は緊張する。

2020-02-21 07:01:59
東洋 夏 @summer_east

【アンケート小説 #ここ豆】第十四幕 おはようございます。雨の土曜日も #朝豆 の楽しみをお届けいたします。 第十三幕、見事レオンさんの試験に合格。 帰り際にシュシュさんから話があると言われ、僕は誰にも聞かれないように公園に行くことを提案しました。 pic.twitter.com/gdohyWiZGH

2020-02-22 07:38:55
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東洋 夏 @summer_east

◇ 「お疲れ様」 路上のカフェでテイクアウトした(そんなオシャレなこと初めてした)カフェオレを飲みながら歩く。シュシュさんは凄く苦いコーヒーにしたみたい。豆は僕の緊張を知ってか知らずか、まだ天馬を相手に走り回った興奮が継続してる。尻尾を元気に振って、スキップするみたいに歩く。

2020-02-22 07:38:56
東洋 夏 @summer_east

O町景観公園という実にしょぼい名前のついた公園は、名前とは裏腹に立派だ。市の魔法学校が、魔法の実習として生徒に公園の整備をさせてるから。 今にも動き出しそうなグリフォンの姿に刈り込んだ風呼樹の下で、シュシュさんは口を開いた。 「実はあなたの叔父さん、疑われてるの」 その疑惑とは……

2020-02-22 07:38:57
東洋 夏 @summer_east

【アンケート小説 #ここ豆】第十五幕 おはようございます。遅くなりましたが本日も物語をお届けいたします。 第十四幕、シュシュさんから衝撃の発言が。叔父さんは何と〈幻獣に不当な契約を結ばせている疑い〉をもたれているようなのです。 果たして……。 pic.twitter.com/h3GDoBdtIM

2020-02-23 09:54:14
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東洋 夏 @summer_east

◇ 「あなた叔父さんには、幻獣に不当な契約を結ばせている疑惑が持たれているの」 僕はぽかんとした。何て答えれば正解なのか、全然わからない。 「調査団が世界各地を巡る中で、真の名前を奪われて人間に連れ去られた幻獣たちの数が年々増加している、悲しい事実が分かったのよ」

2020-02-23 09:54:15
東洋 夏 @summer_east

「叔父さんが?」 「どう関わっているのかはわからない。ただ名前の強奪は組織的な犯行で、その中に叔父さんの影が見え隠れしているわ」 僕は拳をぎゅっと握り締めた。殴りたい訳じゃなくて、どこかに力を入れておかないと、風船みたいに飛んでいきそうだったから。その拳を、豆がぺろりと舐めた。

2020-02-23 09:54:15
東洋 夏 @summer_east

「僕にして欲しいことがあるんですか」 シュシュさんの兎の耳が項垂れる。 「今まで通り過ごして欲しいだけよ。でも……」 僕は拳を解いて、豆の頭を撫でた。とっても暖かかった。 「覚悟をしとけって事ですね。分かってます。お母さんの時もそうだった」 無言でシュシュさんは小さな箱を取り出した。

2020-02-23 09:54:16
東洋 夏 @summer_east

「私とリリィは調査のためにPoDサーカスに近づいているの。あの中にも疑わしい幻獣がいる」 木からドサリと雪が落ち、僕達は驚いて一瞬だけ無言になる。 「……これは私からの贈り物。せめてあなたの身を護れるように」 シュシュさんが取り出した袋を開けると凄いものが入っていた。 それは……

2020-02-23 09:54:17
東洋 夏 @summer_east

【アンケート小説 #ここ豆】第十六幕 おはようございます。#朝豆 で頭の体操していきましょう! 第十五幕のアンケート、ご参加ありがとうございます。 シュシュさんがお守りにくれたのは〈呪文が織り込まれた豆用の首輪〉に決定いたしました。 後々、重要な場面で僕と豆を助けてくれることでしょう! pic.twitter.com/eHD5elm8Rh

2020-02-24 07:05:39
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東洋 夏 @summer_east

◇ 家に帰ると叔父さんが待っていた。明日から学会って話だから、顔を合わせるのは今夜までた。 意識しちゃダメだと思うけど、心底ぎこちない。夕飯は味が分からないくらいだった。叔父さんは豆の首輪をほめてくれたけどあんまり聞いてなかった。 僕は疲れたと言って早々に自分の部屋に引きこもった。

2020-02-24 07:05:39
東洋 夏 @summer_east

ぼーっと本棚を見ていると、アルバムが目に付いた。 何年も開いたことがない。 僕は何気なくピンクい背表紙の、分厚くもっさいアルバムを取り出すとベッドの上で開いた。 豆も興味深そうに覗き込む。アルバムの一枚目。写っているのは、小さな僕と小さな豆だった。

2020-02-24 07:05:40
東洋 夏 @summer_east

「覚えてる、豆。僕が拾ったんだよ」 「くん」 「まだ目も見えてなかったのに、うちの庭に入って来て」 赤ちゃんだった豆の鼻はピンクだったのを今でもちゃんと覚えている。お母さんやお父さんの顔より、ずっと。 「え?」 アルバムをめくっていると、あるものが見つかって、僕は驚いた。 それは……

2020-02-24 07:05:41
東洋 夏 @summer_east

【アンケート小説 #ここ豆】第十七幕 おはようございます。今日からアンケート時間を伸ばしてみます。 第十六幕のアンケートに沢山のご投票ありがとうございました。 何故か気になって手を伸ばしたアルバム。その中に挟まっていたのは<真の名前についての記事の切り抜き>と決まりました。 pic.twitter.com/6Z5fFrstAp

2020-02-25 07:09:20
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東洋 夏 @summer_east

◇ アルバムの中には、萎びた新聞の切り抜きが挟まっていた。見覚えは無い。 『幻獣の秘密、解明に大きな一歩』 そこには叔父さんの──ずっと若い頃の叔父さんの写真が添えられている。写真の中の叔父さんは、子犬を三匹抱えていた。 僕の指は嫌な予感に震えながら、アルバムの最初のページに戻る。

2020-02-25 07:09:20
東洋 夏 @summer_east

叔父さんが抱えていた子犬は、豆と同じ犬種に見える。 (いや、叔父さんは言ったでしょ。豆は奇形のケルベロス種だって) 混乱してきた。 「どういう事だと思う、豆?」 「きゅん?」 「……聞いたって、分かんないよね」 僕はスマホで記事のQR魔法陣を読み取った。明日、記事を詳しく読んでみよう。

2020-02-25 07:09:21
東洋 夏 @summer_east

さあ。下働き二日目だ。 今日は快晴。雪はめちゃめちゃ積もってるけど、風が美味しい。 PoDの朝は早くて(でも叔父さんが未成年だからと取り成してくれて)八時に会場テント前に来るようにと言われていた。 着くと、様子が変だった。団員さん達がザワザワしてる。 何があったのか尋ねてみたら……

2020-02-25 07:09:22
東洋 夏 @summer_east

【アンケート小説 #ここ豆】第十八幕 おはようございます。元気に #朝豆 のお時間……と言いたいところですが、物語は不穏な気配に包まれてまいりました。 第十六幕のアンケートは火が出るようなデッドヒート! ここは折衷案で行かせていただきます。

2020-02-26 07:08:13
東洋 夏 @summer_east

◇ 「おっ、少年」 金のラメ入り紫色のズボン(どこで買うんだろ?)がぴかぴか目立つレオンさんが、手を上げて僕を呼んだ。 「おはようございます。何かあったんですか?」 「少年と一緒に来た兎人のレディ」 「え、と、シュシュさん」 「怪我をしてな」 「何処で!?」 レオンさんがホールを指さした。

2020-02-26 07:08:15
東洋 夏 @summer_east

「しかも脅迫状のおまけ付きだ。ああ兎人のレディは病院に行ったが無事だよ。軽傷だ。しかし脅迫状の内容はわからん。団長が持ってったからな」 やれやれ、とレオンさんは肩をすくめた。 「どうして……うわっ!」 勢いよく豆がリードを引いた。 「どこ行くんだよ、豆!」 導かれた先にあったのは……

2020-02-26 07:08:16
東洋 夏 @summer_east

【アンケート小説 #ここ豆】第十九幕 おこんばんは🐕 第十九幕は参加人数の調査のため、深夜から始めさせていただきます。投票期間は明日の二十二時までです。 第十七幕のアンケートより、豆が反応したのは〈不振な場所の不審な足跡〉と決まりました。この手がかりは何を意味するのでしょうか!? pic.twitter.com/exVsf8i8Lv

2020-02-26 23:04:05
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東洋 夏 @summer_east

◇ 自分の視線を豆と同じように動かしてみる。 「うわ!?」 僕は思わず叫んだ。天井に足跡がついていたんだ。 「レオンさん、これ」 「うおっ! なあみんな、気づいてたか!?」 団員たちは首を横に振る。 「もしかして」 心臓が爆発しそうだった。 「もしかして、犯人の手がかりなんでしょうか」

2020-02-26 23:04:05
東洋 夏 @summer_east

犬のような足跡だった。ずいぶん大きい。でもただの犬は天井を逆さに歩いたりしないだろう。 そこに、ドン!と杖の音が響いた。ウォーホル団長だ。 「持ち場に戻れ。今日の公演は無し。今から警察が来るから外に出るんじゃないぞ」 団長はじろりと僕を見、 「お前もだ」 と言い捨てた。

2020-02-26 23:04:06
東洋 夏 @summer_east

レオンさんと天馬達と待っていると、警察のひとが僕を呼びに来た。 テントの外に即席のブースが作ってあって、中に入るとドーベルマン犬人の刑事さんがいる。 「さて君は昨日、被害者と会っていたわけだが」 穏やかな声だけど、喋る度に牙がちらちら見えて怖い。 「何の話をしたのかね」 僕は……

2020-02-26 23:04:06
東洋 夏 @summer_east

【アンケート小説 #ここ豆】第二十幕 こんばんは。 本日より #ここ豆 は夜に更新させていただきます。深夜帯の参加者も多いようでしたので、このような設定にさせていただきました。 ご了承ください。 さて、刑事に問われた僕は〈叔父さんの件は黙っておいた〉ようですが……。 pic.twitter.com/gfWlNPnA0m

2020-02-28 19:03:09
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東洋 夏 @summer_east

◇ 「なるほど」 ドーベルマンの顔をした刑事はそう言うと組んでいた長い足を解き、タバコの箱に手を伸ばす。見たことの無いパッケージだった。オカバンゴ、と精霊文字で書いてある。 「君は被害者と話したが事件に結びつくような内容ではなく、どうやらプレゼントの為の前フリだった。そうだね?」

2020-02-28 19:03:10
東洋 夏 @summer_east

「そうです」 「ならば君は容疑者から外しても良さそうだな」 「容疑者?」 背筋が寒くなった。奥歯がカチンと鳴る。 ドーベルマンの刑事は大きな口を開けて笑い、 「はっはっは! 念の為と言うやつだよ。この世界には不思議が溢れている。君のような未成年だって、大きな事が出来──あ、未成年か」

2020-02-28 19:03:10
東洋 夏 @summer_east

刑事は火をつける前のタバコをケースに戻した。 「無罪放免だ。あとは妖精が無実を証明するだろう」 僕は、ふらつかずに立てただろうか。 集音妖精の事を忘れていたなんて。 公共の場にはランダムに集音妖精が飛んでいて、音を記録している。もし会話が記録されていたら、嘘がバレるのは時間の問題だ。

2020-02-28 19:03:10
東洋 夏 @summer_east

集音妖精は全ての音を記録している訳では無いし、記録できる範囲も限られる(と言われてる)。だから僕の嘘はバレないかも知れないけど……。 ただ集音妖精は僕の目には見えないから、いたかいないか分からない。 シュシュさんが防音対策をしていたかどうかも分からない。 どうしたらいいんだろう。

2020-02-28 19:03:11
東洋 夏 @summer_east

【アンケート小説 #ここ豆】第二十一幕 こんばんは。 現実を忘れる一時に #ここ豆 は如何でしょうか。 さあ、叔父さんにかかった疑惑のこと、それをシュシュさんと話したことを秘密にした僕は、バレるかもしれないという動揺に苛まれています。彼がとった行動は〈リリィに話を聞いてもらう〉! pic.twitter.com/i8GLJB0a7u

2020-02-29 18:03:59
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東洋 夏 @summer_east

◇ 気づくと僕は、サーカスのテントをぐるりと回り込んで、その背後にある広い雪原に足を踏み入れていた。 「きゅーん」 と、豆が心配するように鳴く。 「豆」 僕が振り向くと豆は尻尾をふって首を傾げた。ああ、豆と喋れたらいいのに! 幻獣と話が出来るのは、通常は〈真の名前〉を知った相手だけだ。

2020-02-29 18:03:59
東洋 夏 @summer_east

教科書で読んだ限り、僕たちヒトと幻獣も言語を持っているけれど、声帯があまりにも違うので同じ言語を話すことは出来ないんだって。 真の名前を知った相手には、その契約の力によって、翻訳の能力が宿る。 先生が言うには「言葉というより、心と心で会話する、テレパシーのようなもの」なんだとか。

2020-02-29 18:04:00
東洋 夏 @summer_east

そこで僕は疑問にぶちあたった。 サーカスの日、僕は確かに氷竜ウィンターリリィの言葉を聞いた。はっきりと。 あれはシュシュさんが隣にいたから? しかも豆はリリィと喋ってた。異種の幻獣どうしなのに? その時、雪原に竜の怒号が響き渡る。リリィだ! 僕が駆けつけると魔術師がいて、そいつは……

2020-02-29 18:04:00
東洋 夏 @summer_east

【アンケート小説 #ここ豆】第二十二幕 こんばんは。 物語が大きくうねる #ここ豆 。 皆さまの選択は僕と豆をどこへ連れて行ってくれるのでしょう。 さて第二十一幕アンケートの結果より、雪原ではなんと〈叔父さんが、魔導書を空中で開き〉、氷竜リリィと対峙していた事に決定。 さあどうなる! pic.twitter.com/Nq3RmJzLmO

2020-03-01 19:12:34
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東洋 夏 @summer_east

◇ 雪原に立つ魔術師はどう見ても、 「叔父さん!?」 僕は叫んだが叔父さんは振り向かなかった。 リリィが翼を立てて唸り、氷混じりの風が吹き付けた。 叔父さんは仁王立ちしたまビクともしない。空中に据えられた魔導書がぱらぱらと独りでにめくれ、浮かび上がった魔方陣から光の矢が放たれる。

2020-03-01 19:12:35
東洋 夏 @summer_east

リリィはその光の矢を全身に浴び、悲鳴を上げながら前のめりに倒れ込む。 僕のところまで竜の血の雫が飛んできた。 【卑劣な生き物よな】 リリィは雪に顔を埋めながら言う。よく見ると氷竜の手脚に枷がはまっていた。リリィの力を抑えているんだ。 「正義のための知恵だ」 叔父さんは静かに言う。

2020-03-01 19:12:35
東洋 夏 @summer_east

また魔導書がめくれる。複雑な陣が空中に描かれていく。 さっきの光の矢とは比べ物にならない規模だ。これが当たったら、いかにドラゴンだって、ひとたまりもないんじゃないか。 僕はリリィに死んで欲しくないし、叔父さんの真意を知る必要がある。 でもここにいるのは僕と豆だけだ。 どうしよう!?

2020-03-01 19:12:36
東洋 夏 @summer_east

【アンケート小説 #ここ豆】第二十三幕 こんばんは。 叔父さんと氷竜ウィンターリリィがまさかの対立!? ファンタジー全開の #ここ豆 、今日も更新です。 さて第二十二幕アンケートの結果から、僕は勇気を奮い起こして〈魔導書を叩き落とす〉ことを決意したようです。 上手くいくのでしょうか!? pic.twitter.com/fKycCdXxkn

2020-03-02 19:55:06
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東洋 夏 @summer_east

◇ 「止めなきゃ」 「おん!」 僕と豆は駆け出した。 もう何も考えられなかった。無謀なんて百も承知。でも魔法の素質なんてちっともない僕には、体を張ることしか出来ないんだ! 宙に浮かぶ魔導書からどんどん光の模様が溢れ出す。 リリィが体を起こそうと懸命にもがいてる。体の下の雪は真っ赤だ。

2020-03-02 19:55:07
東洋 夏 @summer_east

僕は無我夢中でコート脱ぎ、魔導書に被せた。魔導書からの抵抗が風圧になってコートを持ち上げる。膨らんだコートは風船みたいに僕を浮かせようとする。 そこに豆が大ジャンプして飛び乗った。 魔導書の力が急に抜ける。未完成の魔法陣は崩れて落ちた。雪にこぼれた光の糸は、しゅうしゅう音を立てる。

2020-03-02 19:55:07
東洋 夏 @summer_east

「叔父さん、やめてよ!」 リリィの前に立ちはだかって、僕は叫んだ。魔力の波動を間近に浴びた腕が、じんじん痺れてる。豆も毛を逆立てて唸った。 「……何をしてるんだ!?」 【……何故ここにいる】 叔父さんとリリィがほとんど同時に喋った。 ありったけの気合いを込めて言う。 「真実を教えて!」

2020-03-02 19:55:07
東洋 夏 @summer_east

口を開いたのは、叔父さんだった。 「隠している訳では無いんだ。けれど、君に教えるのはまだ早いと思っていた。何故なら」 リリィが静かな鼻息を吹いた。 寒風の直撃した豆が、きゃひんと鳴く。 「何故なら?」 僕はまだ腕を広げたまま、叔父さんを睨んでる。 「その竜には事情がある」 それは……。

2020-03-02 19:55:08
東洋 夏 @summer_east

【アンケート小説 #ここ豆】第二十四幕 こんばんは。 盛り上がってまいりました #ここ豆 、本日もどうぞよろしくお願いします。 さて第二十三幕で叔父さんの口から語られたのは、リリィが〈お母さんの失踪に関係している〉こと。 そもそもお母さんは何者なのか!? ついに、その背景が語られます。

2020-03-03 19:33:56
東洋 夏 @summer_east

◇ 「その竜は、君のお母さんの失踪に深く関わっているんだ」 「お母さんの?」 「だから竜を殺してでも」 叔父さんの深緑色のローブが風もないのにはためいた。 ちかちかと魔石が襟元で輝いている。 「待って、叔父さん!」 僕は混乱していた。何故なら。 「お母さんが失踪したって、どういうこと」

2020-03-03 19:33:57
東洋 夏 @summer_east

叔父さんは顔を歪めた。 「……引越しが決まった時、お母さんは君に何て説明したんだい」 僕の腰に、ぴったりと豆が寄り添う。その温もりが僕を支えてくれる。 「お母さんは国の極秘プロジェクトに参加するから、一年は家を空けなきゃいけない。近所に知られないように引っ越すんだって、それだけ」

2020-03-03 19:33:57
東洋 夏 @summer_east

叔父さんは天を仰いだ。 「叔父さんはお母さんから言われて、豆と僕を引き離すために来たんでしょう?」 「半分はね。あのひと──お母さんは自分が無事でなくなった時のために、伝言を残したんだ」 心臓が痛いほど脈打ってる。 「無事でなくなった」 僕の吐いた息は、頭の中と同じくらい白かった。

2020-03-03 19:33:57
東洋 夏 @summer_east

「君のお母さんは、独自にある術式を成功させた。それは誰も発見していない凄い内容だったけど、同時に誰が見たって禁忌のものだった。だから取調べのために呼ばれたんだ。それなのに、ああ」 【隠すな。伝えよ】 氷竜が囁いた。 叔父さんは竜を睨み、お母さんの術式の説明をはじめた。 それは……

2020-03-03 19:33:58
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東洋 夏 @summer_east

名古屋おもてなし武将隊とお馬さんとカメラと本を愛で、一次創作も始めた自主的編集長。2021年、急にインド兄弟に目覚めた。TLは「好き」のロデオ会場です。🏝一次創作の代表作は海と龍の星アルマナイマシリーズ(固定ツイご参照ください)。

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