瀬戸内国際芸術祭2019(夏会期)の観賞で、岡山市を経由して瀬戸内の島々(香川県の直島、豊島、小豆島)を巡ってきた。その際に見た産業景観(工場や土木構造物による景観)について。
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タケ @take_all_a

2019年8月に瀬戸内国際芸術祭( #瀬戸芸 )で訪れた瀬戸内海の島々の報告、今回は産業景観(テクノスケープ)、つまり工場や土木構造物による景観を紹介したい。風光明媚な瀬戸内は一方で工業地帯でもある。社会科で習った太平洋ベルト地帯の一部だ。瀬戸内海の離島にも工場が存在する。

2019-08-16 22:32:06
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写真は岡山県玉野市の宇野港から見た直島。行政上は香川県に属するが地理的には岡山県に近い。高い煙突と貨物船、そして地肌がむき出しになった地形が見える。直島はベネッセ(福武財団)が手掛けたアートの島として有名だが、実は昔から銅の製錬所が操業していた。三菱マテリアル直島製錬所である。 pic.twitter.com/y5X8iePrEt

2019-08-16 22:34:06
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三菱マテリアル直島製錬所の公式サイトによると、当時の三菱合資が直島に製錬所を設置したのは1917・T6(翌年に三菱鉱業設立)。直島で銅が採れるのではなく、瀬戸内沿岸地域に点在する鉱山から鉱石を集めて一括して製錬するための工場だった。瀬戸内には同様の島に四阪島と犬島がある。 pic.twitter.com/b7Um7CPxgP

2019-08-16 22:38:53
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私は2019年3月に兵庫県にある鉱山の産業遺産(生野鉱山、神子畑選鉱場、明延鉱山)=日本遺産「播但貫く、銀の馬車道 鉱石の道」の構成資産を訪れたが、そのうち明延鉱山の銅も神子畑で選別の上、姫路港から直島に輸送して製錬されていた。 pic.twitter.com/ZzuFCvtHgA

2019-08-16 22:41:40
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動画「三菱マテリアル直島製錬所100周年特番 2017.11.04放映」 youtu.be/UvHTJnZZ0eM 約14分。

2019-08-16 22:43:29
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直島製錬所の主要な製品は銅。他に金や銀、副産物として硫酸や石膏などを生産している。なるほど、それで吉野石膏(せっこうボードの大手メーカー)の工場が近くにあるのね。そして直島に限らず、製錬所は必ず高い煙突を備えている。煙害を防止するためが… pic.twitter.com/XnMP7so91b

2019-08-16 22:48:13
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ご覧の通り、現実には煙害で植物が枯死して地肌が露出する痛々しい光景が広がっている。ただ、この状態は直島製錬所が立地する島の北部だけで、尾根を超えた島の中心から南の集落や漁港がある地区は環境が回復している。 pic.twitter.com/bkj77PAwLR

2019-08-16 22:50:37
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これは石炭を貯めておく貯炭場だね。製錬工程の熱源かな? pic.twitter.com/oGYKwquMRK

2019-08-16 22:56:29
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また、直島製錬所は隣の豊島(てしま)で発生した産業廃棄物の不法投棄問題を契機にリサイクル事業に進出。高い実績をあげている。写真は宇野港〜直島のフェリーで見かけた溶融飛灰(ようゆうひばい、廃棄物を溶融処理した際に生じる塵芥)の輸送車。直島で再処理する。 pic.twitter.com/XcLGbRrjmV

2019-08-16 23:05:29
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直島(香川県直島町)のGoogleマップキャプチャ。岡山県玉野市のすぐ近くにあることが分かる。直島製錬所は島の北端に位置する。 pic.twitter.com/ExRwLlMKaF

2019-08-16 23:17:59
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直島製錬所の周辺。半島状の地形や寺島という小さな島に遮られて、プラント自体は宇野港〜直島・宮浦港の航路からは見えなかった。宮浦港の反対側、本村港に向かう航路なら見えるかもしれない。なお、製錬所近くの風戸行きの船は一般人の乗船不可。 pic.twitter.com/0HdYVtm6RO

2019-08-16 23:20:02
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直島と同じく銅の精錬所があった犬島(いぬじま、岡山市)。小豆島・土庄港から新岡山港に向かう船上から撮影。犬島精錬所は1909・M42に開設されるも、銅の大暴落によってわずか10年後の1919・T8に操業を停止した。 pic.twitter.com/bAhknDIzQv

2019-08-16 23:42:35
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犬島精錬所の煙突。カラミ煉瓦や赤煉瓦で造られた犬島精錬所は廃墟のまま残り、近年、ベネッセが買い取って美術館にリノベーションされた。今回の瀬戸芸ツアーでは見送ったが、いずれ訪れるつもりだ。 pic.twitter.com/hd24Rz8RMQ

2019-08-16 23:44:00
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直島「製」錬所と犬島「精」錬所。漢字が異なるのは三菱マテリアルとベネッセ、それぞれの公式サイトの表記に従っているためです。念のため。なお、製錬と精錬は意味が異なる。

2019-08-16 23:50:31
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直島の本村地区の道ばたで見つけたカラミ煉瓦。銅などの精錬過程で生じた鉱滓を再利用した建築資材で、精錬所近くの集落で使われる例が多い。ただ、直島では他にカラミ煉瓦を全く見なかった。古い家屋の外壁は焼杉だった。これは犬島から持ち込んだものかもしれない。 pic.twitter.com/5WDBkj6joW

2019-08-17 00:00:18
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直島の道路を徒歩で移動中、遠くに高い煙突が見えたのでとりあえず撮影。後で調べたら三井金属鉱業日比製煉所(これも漢字が違うね、岡山県玉野市)。三井金属の公式サイトによると1943・S18に昭和鉱業(現・昭和KDE)から工場を買収とのこと。元々の創業年は分からなかった。 pic.twitter.com/BXxFWRKjWv

2019-08-17 00:39:55
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三井E&S造船 玉野工場(岡山県玉野市)。直島に向かう船上から撮影。三井造船は2018年に三井E&Sホールディングスという持株会社制へ移行した。今の玉野市で創業した旧三井物産造船部が同グループの発端なので、玉野工場が創業の地ということになる。 pic.twitter.com/5Jks8uD1Rx

2019-08-17 00:40:35
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テイカ岡山工場(岡山市)。小豆島・土庄港から新岡山港に向かう船上にて撮影。テイカは大阪市に本社を置く化学メーカーだ。帝国人造肥料という社名で1919・T8に創業し、岡山工場は1942・S17に操業を開始した。同年、帝国化工と改称、1989・H1に現社名となる。 pic.twitter.com/ycKopYCjzh

2019-08-17 00:59:41
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テイカ岡山工場を別角度から。給水塔のような構造物が見えるが、薬品のタンクかもしれない。 pic.twitter.com/fvdlP1co1A

2019-08-17 01:00:22
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昨夜ツイートした「瀬戸内の産業景観」編の続き。岡山市が瀬戸内海に面する児島湾をGoogleマップ地形モードのキャプチャで見る。半島の部分は昔は児島という島だった。干拓事業で江戸時代には本土と地続きになり、更に干拓が進んで現在のような湾の形になった。 pic.twitter.com/Olsf9YLa6Y

2019-08-17 14:04:05
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児島湾の入り口。左が児島。香川県小豆島の土庄港から新岡山港に向かうフェリーにて撮影。湾の入口に送電線が架かっている。岡山県と香川県、つまり本州と四国を結ぶ本四連系線の一部だ。ウィキペディア:中国電力ネットワーク ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD… の中国四国間連系線の段落によると径間は1575m pic.twitter.com/psiZjFBRRL

2019-08-17 14:05:29
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児島湾入口の東側(昔からの本土)に立ち並ぶ本四連系線の鉄塔。 pic.twitter.com/eSCsCw5p64

2019-08-17 14:06:26
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そして児島側の鉄塔。この先、瀬戸大橋を通って四国につながっている。 pic.twitter.com/mRkyf3v1Qk

2019-08-17 14:07:50
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児島湾の入口、送電線の下から鉄塔を見る。 pic.twitter.com/8FQOGiPHgA

2019-08-17 14:10:31
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「瀬戸内の産業景観」編における児島湾の続き。船上から撮影した児島湾大橋。児島湾を横断する県道45号の橋で、ウィキペディアによると長さ931m。竣工は1983・S58。橋の下を船が航行できるよう中央部を高くしている。左側が児島半島。 pic.twitter.com/9lBxbBDcp9

2019-08-17 22:33:53
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もう少しアップで見る。右奥に見えるのは児島湾締切堤防の水門で、堤防上にも道路がある。竣工は1959・S34。しかし路線バスを除く大型車は通行禁止のため、児島湾大橋が建設された。堤防の向こう側は淡水の児島湖。 pic.twitter.com/LvukO82U67

2019-08-17 22:36:47
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宇野港(岡山県玉野市)から直島(香川県)に向かう船上にて撮影した瀬戸大橋(10の橋の総称)。海上のアンカレイジ(吊り橋の重し)から判断すると、左が南備讃瀬戸大橋(1723m)で右が北備讃瀬戸大橋(1611m)だろう。空の帯はスモッグか。 pic.twitter.com/m0iLMLxJzr

2019-08-17 22:49:06
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さて、現代の重工業や土木ばかりが産業景観ではない。瀬戸内で淡路島に次ぐ大きさの小豆島(香川県)は江戸時代から醸造業が盛んで、苗羽地区を中心に古い醤油蔵が現役で使われている。写真はマルキン醤油の蔵の一部。たぶん明治期。 pic.twitter.com/K1N1IJttaI

2019-08-17 23:41:57
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明治期の醸造工場を活用したマルキン醤油記念館(登録有形文化財)の外観と内部。 pic.twitter.com/lbXo4yyLZt

2019-08-17 23:44:26
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農業も産業ということで、最後は豊島の唐櫃(からと)地区、豊島美術館の近くに広がる棚田の風景を。過疎と高齢化による耕作放棄で荒廃した棚田を地元住民と福武財団が協力して再生に取り組んでいる。遊歩道も整備されているが、島を徒歩で縦断して疲れていたので歩かなかった。 pic.twitter.com/D6XhrJbDNZ

2019-08-17 23:58:45
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まとめたひと
タケ @take_all_a

福岡県を中心に、建築・団地・土木・産業遺産などについて、ツイッターにつぶやいたことをまとめています。個人サイトの方は放置中。