生徒会役員の二人には、もう一つの顔がある。 (加筆修正版はpixivにて)
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@mogmog_meshiko

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めしこ @mogmog_meshiko

【僕らは放課後エージェント】 長谷部くんはいたって真面目な高校二年生。内申のために生徒会役員に立候補して、見事に副会長の職を務めることになる。 そんな生徒会のトップに君臨するのは、三年生の長船光忠だった。 この長船生徒会長は、どうにもこうにも食えない男である。 ↓

2019-11-06 22:23:24
めしこ @mogmog_meshiko

カリスマとはこういうことを指すのだろう、と言わんばかりの生徒からの絶大な支持。 女子だけではない、男子や先生からも圧倒的な信頼を得ている。 見た目も、成績も、欠点が見つからないようなこの先輩が、なぜ生徒会長なんて面倒なことを務めているのか疑問だった。 ↓

2019-11-06 22:23:24
めしこ @mogmog_meshiko

人の上に立って、ふんぞり返りたいタイプにはどうにも思えなかった。俺と同じように内申のためだろうか。 長谷部くんは気になって、一度聞いてみたことがある。 「きっかけはね、生徒会の顧問に声を掛けられたからなんだ。きみ、生徒会長やらない?って。当時、僕のクラスの副担任だったんだよね」 ↓

2019-11-06 22:26:44
めしこ @mogmog_meshiko

「え、それで任されちゃったんですか?」 「部活も特にやってなかったし、時間を持て余してたから、それも良いかなって思ったんだ。生徒会長って、好きにやっても良いんですか?って聞いたら、良いよって言われたし」 そう、生徒会の顧問はそういう人なのだ。良い意味でも、悪い意味でも適当。 ↓

2019-11-06 22:27:37
めしこ @mogmog_meshiko

でも恐ろしいくらい、人のことをよく見ている。 俺が副会長に立候補した時もそうだった。 「長谷部くん、か…生徒会役員に立候補したのは、内申のため?」 「え、いや…その」 「ははっ、きみ素直で良いね。うん、長船くんを助けてあげてよ」 そんな会話を交わした記憶は、まだまだ新しい。 ↓

2019-11-06 22:28:05
めしこ @mogmog_meshiko

にこにこと機嫌の良さそうな会長に、長谷部くんは小さく折り畳まれたルーズリーフを手渡す。 「それで?会長が好きにやりたかったってことが、これなんですか?」 「あ、入ってた?悩める子羊」 「それ、恥ずかしいんで止めて下さい。いや、あの箱も十分恥ずかしいですけど」 ↓

2019-11-06 22:29:48
めしこ @mogmog_meshiko

あの箱、とは生徒会室のドアに取り付けられている、箱と言う名のポスト。 その名も「放課後エージェントにお任せ!」だ。 ダサい、最高にダサい。いくら俺でも自信を持って言える。 しかし会長曰く『ダサいくらいのほうが、みんな気軽に相談しやすいんだよ』とのことだ。 ↓

2019-11-06 22:30:45
めしこ @mogmog_meshiko

「長谷部くんが手伝ってくれるようになってから、依頼が増えたなぁ。評判が広がったかな?」 「会長って、なんで、こんな面倒くさいことやってるんですか?」 「ん?…より良い学校生活のためだよ」 そう言ってにこりと笑う。 きっとこの会長は、嘘は付いていない。これは本心からの言葉なのだ。 ↓

2019-11-06 22:31:47
めしこ @mogmog_meshiko

こうしてまた、今日の生徒会活動が始まる。 表向きは長船生徒会長と、長谷部副会長。 その実態は、生徒たちの「誰にも言えない悩み」を隠密に解決する、放課後エージェントなのだ。 ↓

2019-11-06 22:32:18
めしこ @mogmog_meshiko

「それで、依頼はなんだって?」 会長に問われて、長谷部くんは心底面倒くさそうな顔をする。 手渡されたルーズリーフを開いて、さっと目を通したあと、長船会長は少し困ったように笑う。 「『没収されてしまった、ペアリングを取り返して』か。…ふふ、可愛い依頼だね」 ↓

2019-11-07 22:13:11
めしこ @mogmog_meshiko

「どこがですか。自業自得ですよ」 「まぁね、それもまた正論だと思うよ。…でもまぁ、没収されたままっていうのも、酷な話だよね」 確かに分からなくはなかったが、長谷部としてはどうにも気の進む依頼ではなかった。 いや、そもそもこの活動に気の進む依頼などないのだが。 ↓

2019-11-07 22:14:26
めしこ @mogmog_meshiko

この「放課後エージェントにお任せ!」ポストには、他の人からしたらくだらないような、でも当人からしたら非常に困っているような依頼が、たまに舞い込んでくる。 過去にあったのは、『お気に入りのパンが、食堂の売店で取り扱わなくなってしまったから復活してほしい』とか ↓

2019-11-07 22:14:26
めしこ @mogmog_meshiko

『体育祭で流す音楽は、全校生徒の投票で決めたい』など。 うん、やはりくだらない。 でもきっとこれは会長の言う「より良い学校生活のため」なのだろう。 気は進まないが、来年の会長の座のためだ。 俺は今日もこの人の手となり足となろうじゃないか。 誰に宛てるでもなく、俺は腹を括る。 ↓

2019-11-07 22:18:20
めしこ @mogmog_meshiko

「それで、これしか書いてないですけど、誰に没収されたんですかね」 「だいたい想像はつくけどね」 「?」 「うちの学年の若い体育教師、知ってる?」 「あぁ、あのゴリラみたいな人」 「そうそう。あの先生、女子の身だしなみにやけに厳しいんだよね。 ↓

2019-11-07 22:18:21
めしこ @mogmog_meshiko

あと最近、彼女に振られたって嘆いてたから、余計にそのペアリングが気に障ったのかも」 「…なんでそんなことまで知ってるんですか」 「生徒会長にもなると、色んな情報が入ってくるんだよ」 この人は一体どんな情報網を持っているんだろうか。 ↓

2019-11-07 22:18:21
めしこ @mogmog_meshiko

でも確かに会長は、どの学年の先生とも気兼ねなく話しているように感じる。 そういうところは尊敬している。ちょっとだけ。 「じゃあ、まずは検証してみようか」 「検証?」 「その先生が本当に、生徒の私物を没収するようなことをするのか、を」 すっと細められた、会長の切れ長の瞳。 ↓

2019-11-07 22:19:54
めしこ @mogmog_meshiko

この人はたまに、今みたいな好戦的な目をする。 普段は穏やかとか、温厚なんて言葉がぴったりなのに。 俺はそんな会長を見るのが、嫌いじゃなかった。 一体どうやって、先生を罠にかけるみたいなことをするのだろうか。 ほんの少しだけわくわくした気持ちが、心の中に湧いてくる。 ↓

2019-11-07 22:19:55
めしこ @mogmog_meshiko

「どうするんですか?」 「ねぇ、長谷部くん。お買い物に行こうか」 「…はぁ?」 早々に帰り支度を済ませた会長は、さっさと戸締りをして、俺の手を引いて昇降口に向かう。 ろくな説明もしてもらえず、俺はされるがままだった。 ↓

2019-11-07 22:19:55
めしこ @mogmog_meshiko

翌朝、長船会長と長谷部副会長の姿は、登校する生徒で賑わう正門にあった。 にこやかな笑顔で挨拶を交わす会長と、その隣で若干引きつった笑みを浮かべる副会長。 その理由は会長の左手にあった。 朝日を受けて、きらりと輝く銀色の輪っか。 それが、会長の左手薬指に収まっていた。 ↓

2019-11-07 23:02:20
めしこ @mogmog_meshiko

昨日付き合わされた買い物は、これを買いに行くためのものだった。 「まどろっこしいことをするくらいなら、没収してもらった方が早いと思うんだよね」 「それ作戦も何も、ないじゃないですか」 「一刻も早い解決のためだよ。…ねぇ、長谷部くんはどれが良いと思う?」 ↓

2019-11-07 23:04:23
めしこ @mogmog_meshiko

学校をあとにした会長に連れて来られたのは、駅前の雑貨屋。 数百円の指輪を眺めながら、会長は尋ねてくる。 「どれでも良いんじゃないですか。返ってこないかもしれないんだし」 「…きみが選んでくれたら、没収されたとしても絶対に取り返してみせるよ」 ↓

2019-11-07 23:08:08
めしこ @mogmog_meshiko

まるでドラマの主人公のような、甘ったるい台詞を俺に向けてどうするんだか。 長谷部くんは、そんなことを考えながら一つの指輪を選んだ。 「じゃあ、これ」 なんの装飾もないシンプルなシルバーのリング。 輪っかが少しだけV字状に施されているのが、シンプルながらも会長の指に似合う気がした。 ↓

2019-11-07 23:08:08
めしこ @mogmog_meshiko

「いいね、じゃあこれ買ってくるね」 踊るようにご機嫌な足取りで、会長は指輪を手にレジに向かった。 そして今に至る。目的の体育教師を待ち構えるべく、こうして正門に二人して並んでいるのだ。 生徒会長と副会長が並んで立っていても、なにか営業活動かなとしか思われないので都合が良い。 ↓

2019-11-07 23:08:08
めしこ @mogmog_meshiko

そうこうしていると、体育教師が正門に向かって歩いて来た。 会長はわざとらしく左手を掲げて挨拶を交わす。 「先生、おはようございます」 「あぁ、おはよ…おい長船、それは何だ」 「え?あぁ、これですか?」 会長は隠すこともなく、堂々と左手にはまるシルバーリングを先生に見せ付ける。 ↓

2019-11-07 23:08:09
めしこ @mogmog_meshiko

「おまえ、駄目だろ…学校にこんなの付けてきたら」 「すみません…大切な人からもらったもので」 思わず絆されてしまいそうな会長の迫真の演技に、長谷部くんは笑いを堪えるのに必死だった。 それ昨日、俺が選んだ数百円の指輪のくせに! ↓

2019-11-07 23:13:33
めしこ @mogmog_meshiko

「生徒会長がこんなのしてたら、他の生徒に示しがつかないだろ。没収な、没収」 「えぇ、困るなぁ」 よし、かかった。言葉を交わさずとも、二人とも考えたことは同じだった。 さて、あとはこれをきっかけに、どうやって依頼人のペアリングも回収するか、だが。 「なにか考えがあるんですか?」 ↓

2019-11-07 23:13:33
めしこ @mogmog_meshiko

「まぁね、こういう時は使えるものは使わないと」 会長はそう言うと、また放課後にね、と三年生の教室階へと降りて行った。 一体どうするんだろうか。 気になって授業中にそわそわしてしまい、若干集中力に欠いていたのは、会長には内緒の話だ。 ↓

2019-11-07 23:16:23
めしこ @mogmog_meshiko

放課後、長船会長と長谷部副会長は職員室を訪ねた。 しかしその相手は、体育教師ではなかった。 「それで?僕になにか用かな?」 「実は、ちょっと助けていただきたいことがありまして」 その相手は他でもない、俺たち生徒会の顧問だった。 顧問はにこにこしながら、長船会長の話を聞いている。 ↓

2019-11-07 23:48:36
めしこ @mogmog_meshiko

「あれかい?隠密部隊の活動」 「放課後エージェント、ですよ。実はですね…」 会長は簡潔に事の経緯を説明した。 「確かに、学校には不要なものですし、その生徒に責任があるのはもっともなのですが。…このご時世ですし、あくまで私物を没収したまま、というのもどうかなと思いまして」 ↓

2019-11-07 23:48:36
めしこ @mogmog_meshiko

「ふふ、確かにね。なかなか今の保護者の方は行動的だから」 まるで腹の探り合いのような、二人の笑顔のやりとりに、長谷部くんは背筋が冷たくなる気すらした。 この二人が結束すると、単純に怖い。 「いいよ、僕からちょっとお願いしてあげる。その生徒には長船くんからよく言ってあげてね」 ↓

2019-11-07 23:48:36
めしこ @mogmog_meshiko

「分かりました!ありがとうございます」 そうして俺たちは、職員室から生徒会室へと移動して、通常の業務を片付ける。 「あれで本当に、うまくいくんですか?」 「大丈夫だよ。知ってる?あの体育教師は、もともとここの生徒だったんだ」 「…それで?」 ↓

2019-11-07 23:48:36
めしこ @mogmog_meshiko

「その時の担任で、部活動の顧問だったのが、我ら生徒会の顧問の先生。昔は鬼教師なんて呼ばれていたらしいよ」 なるほど。そういうことか。 権力と威厳のある人は敵に回すべからずだ。 しばらくすると、生徒会室を訪ねてきた顧問は、今朝まで長船会長の左手にはまっていたシルバーリングと、 ↓

2019-11-07 23:48:37
めしこ @mogmog_meshiko

もう一つきらきらと輝くリングを持ってきた。 これが依頼人の言っていたペアリングだろう。 適当に業務を切り上げて、依頼人の下駄箱にそっとペアリングを返す。 色付きのルーズリーフでそっと包み「もう学校に付けて来ちゃ駄目だよ、お幸せに!~放課後エージェントより~」のメッセージを綴る。 ↓

2019-11-07 23:50:25
めしこ @mogmog_meshiko

これにて任務完了である。 「良かった、良かった。無事に解決だね」 駅まで並んで帰りながら歩く、会長の左手にはまたあの指輪がはまっていた。 「もうそれ、する意味ないじゃないですか」 「まぁまぁ、今回の依頼の記念だよ」 「また没収されても知りませんよ」 ↓

2019-11-07 23:50:25
めしこ @mogmog_meshiko

「大丈夫、ちゃんと家で大事にしまっておくから」 たかだか数百円の指輪。 それでも、それを大事にしてくれると聞いて、長谷部くんは悪い気はしなかった。 ちょっと嬉しかったんだ。 ↓

2019-11-07 23:50:26
めしこ @mogmog_meshiko

それはまた、数日後のこと。 帰りのホームルームと掃除を終えて、生徒会室のドアに手を掛けると、鍵はもう開いていた。 がらりと開けると、先客が顔をこちらに向ける。 「長谷部くん、早いね」 「会長はいつもより遅かったですね。今週、掃除当番ですか?」 「ご名答。さすが優秀な副会長だ」 ↓

2019-11-10 16:37:33
めしこ @mogmog_meshiko

「それはどうも。あ、入ってましたよ、これ」 そう言って長谷部くんは、綺麗に小さく畳まれた白い紙をこちらに寄越す。 受け取った会長は、ぱっと表情を変えて少しせわしない仕草で紙を開いていく。 「…これは、これは」 「なんて書いてありました?依頼」 くるりと紙をひっくり返して、掲げる。 ↓

2019-11-10 16:40:14
めしこ @mogmog_meshiko

きょとんとした顔で紙に目を走らせていた長谷部くんの表情は次第に、隠すこともなく眉間にしわを寄せた顔になる。 彼はよくこういう顔をする。せっかく綺麗な顔をしているのに。 「『放課後に、彼女がピアノで弾いている曲を教えて下さい』ねぇ…こういう依頼、多いですよね」 「こういうって?」 ↓

2019-11-10 16:40:14
めしこ @mogmog_meshiko

「だから、恋愛絡み?みたいな」 長谷部くんは、少し言いにくそうに口にする。 それは嫌悪や侮蔑というよりは、困惑に近いような表情だった。 「青春だよね、羨ましい限りだよ。長谷部くんは、そういうのないの?」 「…はっ?」 「好きな子とか、そういうの」 ↓

2019-11-10 16:40:15
めしこ @mogmog_meshiko

「ないですよ、そんな暇はこれっぽっちも。これ放課後ってことは、いま弾いてるかもしれないですよね。さっさと解決しに行きましょう。ピアノってことは、隣の校舎の音楽室ですよね」 うん、今日も今日とて、なかなかつれない副会長様だ。 でも解決に乗り気でいてくれるなら、まぁ良しとしよう。 ↓

2019-11-10 16:41:52
めしこ @mogmog_meshiko

「いや、そっちじゃないよ思うよ」 「え、あそこ以外に、ピアノが置いているところなんてあるんですか?」 「長谷部くん、知らないかな?ほとんど物置みたいになっている、第二音楽室って部屋があるの」 「…あぁ、地下一階の端っこでしたっけ」 ↓

2019-11-10 16:41:52
めしこ @mogmog_meshiko

「そうそう。隣の校舎の音楽室は、放課後に吹奏楽部が毎日練習で使っているはずだから、可能性としてはそっちの方が高いんじゃないかな」 ぱちりと目を合わせて、軽く頷き合う。 そうと決まれば、さっそく調査だ。 放課後エージェントの活動が今日も始まる。 ↓

2019-11-10 16:41:52
めしこ @mogmog_meshiko

今日は天気も良くて、暖かな気候だったのにも関わらず、地下一階はどこかどんよりとしていて、静まり返っていた。 生徒会室からは聞こえる、校庭の運動部の声も、吹奏楽部の練習の音も、ここからは随分と遠くに聞こえた。 「地下一階って、特別教室とか資料室しかないからあんまり来ないですけど、 ↓

2019-11-10 16:49:59
めしこ @mogmog_meshiko

なんだか不気味ですね」 「肝試しとかやったら盛り上がりそうだよね。夏休みに登校日作ってやらない?」 「やりませんよ。そんなこと言ってないで…あ」 「聞こえるね、ピアノの音」 少し湿っているように感じる廊下と、上履きが擦れて音を立てないように、足取りは自然と慎重になった。 ↓

2019-11-10 16:49:59
めしこ @mogmog_meshiko

廊下を歩き進めていくうちに、ピアノの音は大きくなっていく。 そして目的の教室に辿り着いた。 「第二音楽室」と書かれた頭上のプレートは、どこか色褪せているように感じられる。 音を立てないように慎重に、ドアにはめ込まれているガラス窓から、こっそりと中を覗く。 「あ」 ↓

2019-11-10 16:49:59
めしこ @mogmog_meshiko

すぐ隣に聞こえるか、聞こえないかくらいの小さな声をあげたのは、長谷部副会長だった。 「あれ、うちのクラスのやつです」 「そうなんだ」 いくらピアノの音が満ちているとはいえ、この静かな地下一階だ。 二人は極力声を抑えて、顔が引っ付きそうなほどの距離で話をする。 ↓

2019-11-10 16:51:40
めしこ @mogmog_meshiko

「あんまり、喋ってるところ見たことないですけど。大人しい子みたいで」 「長谷部くんが、怖がられているだけじゃなくて?」 「それもあるかもしれないですけどね」 「こんなに良い子なのにね」 「…っ…それより、どうやって曲を特定するんですか?」 ↓

2019-11-10 16:51:41
めしこ @mogmog_meshiko

照れた長谷部くんの声がちょっと大きくなるから、慌てて「しーっ」と制する。 「さっきから同じところを何度も弾いているようだから、今はこの曲を練習中ってことだよね。この依頼が入ってたのは今日だから、きっと曲はこれで良いはずだ。あとは…これの出番だ」 「…スマートフォン?」 ↓

2019-11-10 16:51:41
めしこ @mogmog_meshiko

「そう、静かにしていてね」 長谷部くんは、分からないながらも、こくりと頷いた。 長船会長はスマートフォンをするすると撫でると、アプリを起動して第二音楽室のほうに向けた。 しばらくすると、画面を確認して、静かに待っていた相方にも見せてやる。 ↓

2019-11-10 16:51:41
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まとめたひと
@mogmog_meshiko

今日も、明日も、燭へし書くよ。