2020年5月20日
葉をテーマに今年書いたツイノベ(#twnovel )まとめました。写真×ツイノベです。
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みお@彼女は食べて除霊する🐾👧👻8/20発刊 @miobott

#twnovel 「ぶしつけながら」赤の人の背があまりに切ないものだから、私は思わず声をかけていた。白く煙る雨の中、儚くなってしまうのでは…と、案ずるほどの切なさだったからである。私の言葉を聞いて彼女は愛らしく微笑む。私はつい彼女の隣に並び、落葉でできた赤い道を共に歩いた。 pic.twitter.com/Xgj1oAsLdY

2016-11-28 21:59:42
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みお@彼女は食べて除霊する🐾👧👻8/20発刊 @miobott

#twnovel 「あらご心配を? 申し訳ありません。それほど思い詰めた顔をしていたかしら。違うのです。悲しみは内にあるのです。この慣れ親しんだ場所からそろそろ去らねばならない時期が来たことが無性に悲しいのです。せめて皆が私を忘れないよう、親しんだ人にご挨拶に巡っていたのです」 pic.twitter.com/4QwaPGTPBy

2016-11-28 22:03:30
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みお@彼女は食べて除霊する🐾👧👻8/20発刊 @miobott

#twnovel 赤の人は寺内をゆるりと巡り、やがて一つの像に辿りつく。それは憂いの目を持つ観音菩薩である。彼女は菩薩に駆け寄ると掌をあわせてそっと頭を垂れる。赤の着物に涙の滴が音をたてて散る。 「酷い雨だ」突然降り始めた豪雨の音に驚いて私が顔を背けた途端、彼女の姿は消えていた。 pic.twitter.com/hNFnKE1D4V

2016-11-28 22:06:16
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#twnovel 結局、彼女の姿はすっかり消えてしまった。寺の人間に聞いても、誰も彼女のことを知らないと言う。あの人は誰であったのか。私はすっかり恋煩いだ。嘆きながら傘を開けば、追いすがるように舞い落ちた赤の紅葉。「また来年お目にかかりましょう」それは赤の人と同じ声でそう囁いた。 pic.twitter.com/EpFpzSjncp

2016-11-28 22:13:16
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#twnovel 低く響く鐘の音で目覚めた私は目前に広がる風景に震えた。目の前はただ、ただ、ただ、赤の色。祈りを封じた鐘には仏の図。鐘が一つなるごとに誰かが泣いた。それは死者の泣き声だ。「怖いことなどあるものか、ここはかつて風葬の地でね」と、足下に転がる鍾馗の像がせせら笑った。 pic.twitter.com/M3E3XpPI7T

2016-11-26 19:58:26
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#twnovel 天から黄金の降ってくる場所があるらしい。そう噂に聞いた泥棒が寺に忍び込む。明け方、降ってきたのは何であろうか黄金色の葉。さても騙されたかと地団駄を踏む男の前で石仏達が哄笑を漏らす。「御覧、秋だよ」振り仰げば天から見事な紅葉が降り注ぎ、男の着物に色を添えた。 pic.twitter.com/Fg9eMlc8Yq

2016-11-26 20:42:38
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#twnovel ふいに日差しがとぎれた。赤の着物を着た娘は、冷たい空を見上げて嘆く。目の縁を紅に染めてほろり零れる涙粒。なぜそれほどに泣くのか聞いてみれば「さようならの季節だからです」娘の涙は雨粒となり、気が付けば私の目の前に、盛りを過ぎた楓の葉が赤く染まってゆれている。 pic.twitter.com/WXLocCM1qO

2016-11-20 19:47:45
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#twnovel かつてその木は、秋ともなると美しく紅葉し多くの人間の目を楽しませたという。しかし時は経った。枝は落ち幹は崩れやがて残ったものはまるで台座のような根元のみ。いまだ近隣の落ち葉はその木を慕い嘆く。そうして、秋の盛りが過ぎる頃、彼の根本は美しい紅葉の絨毯となるという。 pic.twitter.com/FZ1ZWufHOW

2016-11-20 19:43:37
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#twnovel 男はしわがれた赤い手でゆっくりと私を手招き囁いた。「その窓からそうっと覗いてごらん、そうっとだよ…愛らしい娘がいるよ」男の言葉にふらふらと窓を覗けば、そこには彩りも華やかな娘たちがたおやかに、いじらしく、誘うような目つきで私を見つめている。 pic.twitter.com/rw32LrnNsK

2016-11-20 19:01:44
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#twnovel なぜこんなに愛らしい娘たちがこのような場所に閉じこめられているのか。「盛りの短い秋の娘たちだもの。大仰に見せるより隠しておくほうが価値がある」くつくつと笑う男の声。振り返ったそこにあったのは、男ではない。だらしなく垂れ下がった干し柿が、私を騙すようにゆれていた。 pic.twitter.com/t6KYe1fsQE

2016-11-20 19:03:18
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#twnovel 橋の上をしゃなりと歩く娘のなんと美しいことか。男は遊女の背を見つめ微笑む…と、いずこより低い声が響いた。「他の女に目を遣るなど酷い人」振り返った男がみたものは鬼の角持つ赤い鬼女。「宇治の橋には嫉妬に狂う女の鬼がでるのです」いつか聞いたそんな噂を男は思い出した。 pic.twitter.com/RF4WDw9wB0

2016-11-20 18:56:55
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#twnovel 緑の葉が、息を付く間に赤く染まった。赤に黄色に深い紅。女は夢のような風景を見上げて、ふと微笑む。なんとまあ美しの道。女の向かう道の果てに蠢くは、急流で知られる宇治の川。(哀れな女の果てる身を、さあ御覧あれ秋の神)女の名を浮舟。儚い名を、彼女は川に浮かべた。 pic.twitter.com/FUUp6bDk3R

2016-11-20 18:22:22
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みお@彼女は食べて除霊する🐾👧👻8/20発刊 @miobott

#twnovel 「さあさ、こちらへおいで」狐に似た男がそう言って、黄色の着物をふわりと揺らして私を誘った。あまりに美しい男なものだから、私もつられて跡を追う。追った先は小さな寺。男は楽しげに笑い、やがて姿を消した。気が付けば、目前の道に男の着物に似た銀杏の黄金が散っている。 pic.twitter.com/gypqvmepL8

2016-11-20 18:10:25
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みお@彼女は食べて除霊する🐾👧👻8/20発刊 @miobott

#twnovel いつか銀杏の木の下で。そう誓って別れた男は死んで秋の風となり、女は蝶と化す。二人が出会えるのは年に一度、銀杏の木が紅葉の色へと変わる一瞬。その時。哀れな二人を思う銀杏の木は、せめて黄金の色となる。 pic.twitter.com/T5MBMOwR21

2016-11-12 23:25:01
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みお@彼女は食べて除霊する🐾👧👻8/20発刊 @miobott

#twnovel 目に突き刺さるような赤だ黄色だ。紅葉は段々と色づいて見えた。それを見上げて隣の娘がほろりと涙を零す。「なぜ泣くのか」問えば娘は弱々しく宙を舞う。「まもなく来る冬に怯えていたのです」舞った彼女は季節外れの秋の蝶。命の灯火は、冷たい秋風に耐えられないよう震えている。 pic.twitter.com/jqXUkdWGMB

2016-11-12 22:06:38
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というわけで2016年度の紅葉ツイノベはこれで終了?かな? 今年は奈良、宇治、稲荷、嵐山、万博記念公園、中之島、大津へ紅葉狩り。写真を撮るとき、「こういうツイノベを書きたいから、こういう写真が欲しい」と考えつつ撮ったりして、文ありきで撮るのも楽しかったなあ~ pic.twitter.com/eeJUejYPuB

2016-11-28 22:15:18
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まとめたひと
みお @miobott

食べたり飲んだり書いたり。 書籍化📖 「上島さんの思い出晩ごはん」「極彩色の食卓シリーズ」「深川花街たつみ屋のお料理番」「彼女は食べて除霊する」 ヘッダーは@moshio_tsumuriさんthx お仕事依頼等は m.miobott@gmail.com@までお気軽に。 BOOTHで同人誌通販もしてます。

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