創作BL小話まとめ

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#twblnovel やあおいで、部室で迎えてくれるヤツの笑顔は優しい。「いつも穏やかで、居心地いい」同級生らの反応は芳しくない。「知らぬが仏だ」しきりに頷き合っている。おれだけ？知らない？（お月さまの裏側みたいだ）分からないから近づきたい。そこは絶対零度の不毛の地か、はたまた。

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#twblnovel 熱された水の粒子が僕を圧し潰そうとする。首を伝う汗も湿気た空気に混ざってゆくようだ。「っあ、」不意にざらりと舐められた。「しょっぱい」悪戯っぽく舌を出す。「当たり前だろ」つややかな唾液と、汗。（融ける）体温のような熱帯夜、僕はそれ以上のものを望んでいる。

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#twblnovel どっちでもいいのだ。貫くか貫かれるか。少なくともおれはどっちでもいい。問題はただひとつ、なんもかも手に入るかどうか。「まだ躊躇ってんの」殊更ゆっくりと釦を外す。「選んで。アンタが」「ぼく、は」スーツの腕が震えていた。（それでも選ばせる）絶対に逃がさない。

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#twblnovel ことば、は、ゆたか。彼の詩が教えてくれた。（死ね、とか。屑、とか）かつての僕はそんな単語しか知らなかった。竪琴の音色とともに、創世の物語を聞くまでは。「適切な」と理論派の彼。「言葉を積み重ねてゆけば、描けないものなんかないのさ」「自信家」だけどだから好き。

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#twblnovel それは一種の暴力なのかも。「スキ、ねえ好きスキすきだよ」耳のなかに吹き込むみたいに囁くけど君はびくともしない。机に向かう横顔がたまらなく素敵だ。数式の、英字の、海に沈んでゆくみたいな静かな。「だーい好き」反応はない。慣れてる。平気。いつまでも僕は狼藉を働く。

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#twblnovel 生きるために生きている。楽しいでも嬉しいでもない。ろくに夢もない。「また後ろ向きなこと考えてるでしょ」「鋭い」だめだよ、と腕に額を押し付けてくる。目尻が赤い。（俺なんかのためにお前は泣くから）「分かってる」だから最低限、死なない。それは意外と悪くないのだ。

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#twblnovel 最近諦めが早くなった気がするの、母は小首を傾げる。「歳のせい？」「どうだろ、でもオレ好きな人がいてそいつは男なんだけどじーさんになっても諦められそうにないよ」ここまで一息。心臓がばくばく鳴っている。母は目を丸くして、「あら素敵」（いいんだ）全身の力が抜けた。

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#twblnovel クラスの席は隣。部活も同じ。毎日のように寄り道もしている。それなのに。（土日も遊びいこ）メールの送信ボタンが押せない。（なんか、なんかさ）胸の奥で溢れるハートマークまで届いてしまいそうな気がするのだ。頬が熱い。目が回る。でも会いたい。自問自答の夜は更ける。

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#twblnovel 「退職、黙ってたね」「言いにくくて……生活費とか、迷惑かけるかも」「何のために俺が社畜してると思ってんの」唇を尖らせる。「お前を俺なしで生きられないようにしたいからでしょ。むしろこのまま誰とも会うなよ言わせんな」マジ照れか。（就活がんばろ）拳を固く握り込む。

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#twblnovel 終電から降り立った。（腹ごしらえか、睡眠時間か）両方をとる時間はない。溜め息混じりで玄関を開ける。異変に気が付いた。（灯り）「お帰りっ」「来てたのか」「当然」味噌汁の香り。「だって、弱ってんでしょ」子守唄のような優しい響きだった。（不覚）驚くほど染み渡る。

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#twblnovel 同じクラス。だからなんだ。席が遠くて部活も委員会も違うやつに話しかける機会は少ない。ましてや彼は無口で、いつも文庫本に熱中している。（キレーな横顔）視線が吸い寄せられる。（気付いちゃいないだろうけど）目が口ほどにものを言っていた、と知るのはもう少しあとの話。

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#twblnovel 堰を切ったようにイメージが浮かぶ。筆が追い付かない。（いつ以来だ）カンバスに色を重ねるたび満たされてゆく。「言った通りだろ。少し疲れてるだけだって」答える時間が惜しい。視線すら向けないけれど、彼は笑っている筈だ。（戻ってこられた）僕の世界に。彼の手の内に。

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#twblnovel 何やってんだ俺。働かない上司、理不尽な顧客、飯もまともに食ってない。「俺ってカワイソウかなあ」我ながら面倒な質問だ。けれど真面目な後輩は真剣に答えてくれる。「捉え方次第ですよ。僕は残業、ちょっと好きです」「まじで。どして？」躊躇うような間。「先輩、いるんで」

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#twblnovel 吐き出している。腹にためこんだあれやそれ。「だいじょぶすか」「おう……うぉぉえぇ」路上で這いつくばっているのも後輩に介抱されているのも情けない。「まー全部出しちゃって下さいよ」そうするしかないらしい。「俺は嬉しかったんで。グチ聞けて」暖かい手が背中をさする。

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#twblnovel 黒々とした獣が頭を上げる。光のない目が僕を見る。吸い込まれて戻れなくなりそうな柔らかな闇。「手の鳴るほうへ」それは命令だ。ゆったりと重ね合わせられた手は動かないのに、何かが鼓膜を震わせる。「やめてよ、センセイ」耳を塞いでもその奥で鳴る。ぱちん、ぱちんと。

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#twblnovel 泳ぐことが好きだった。表彰台の常連だったけれど、プロにはならなかった。「俺、多分、お前が好き」彼の目は水面みたいにきらきらしている。「僕は」はたと気が付く。（フツウでありたい）どうやらそんなことに固執している。（選べない）ごめん、と言いながら僕が泣いた。

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#twblnovel 「お前ほんと格好いい」「だろぉ？」呂律が回っていない。グラスを片手にへにゃりと笑うから、ビールを更に注いでやる。「仕種も好き。甘ったれだけどそこも好き」「まじかぁ」頬も耳もすっかり赤い。（酔いが覚めたら記憶は消える）「まじだよ」好きなだけ伝えていい、今なら。

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#twblnovel 奥歯がイカれている。唾を吐くと赤かった。「無様だね」「お前か。情けないとこ見られちまった」痛みを堪えて笑う。反応はない。彼はただ通信機を取り出した。「各人配置につけ。ポイントXは封鎖」後ろ姿が低く囁く。「潰してやる」あいつら潰してやる。呪文のように繰り返す。

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#twblnovel 「漬物食う」泥酔した同期が肩を揺さぶってくる。「自分で取れ」「お前に取って貰いたいの」周囲の忍び笑いが居たたまれない。「しょうがねえな」「茄子きらい」「避けりゃいいんだろ！！」これで普段は口数少なの伊達男なのである。（知りたくなかった）こんなギャップ萌え。

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#twblnovel closedの札を掛けて戸締まりをする。ゆっくりと振り返れば、貴方がまだグラスを傾けている。（夢みたい）「次、何飲みますか」「閉店時間じゃないの？」眦がとろりと緩んでいる。舌は呂律が回っていない。「特別」朝まで眺めていられるのなら、タダ酒だって構わないのだ。

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#twblnovel 「天敵のいない外来種は際限なく増える。生態系を破壊する」歌うように言いながら彼は僕の頬を撫でた。「排除が必要だーーまたは管理が」地下室は這うような冷気に満ちていた。「それって僕を閉じ込める理由になる？」手首の鎖が硬質な音を立てる。うっそりと彼は笑っている。

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#twblnovel 内線番号を押して耳を澄ました。「総務課です」いつもより掠れて聞き取りにくい。「営業部です。昨夜はお世話になりました」「とんでもないです失礼します」一瞬で切れた。（訊かれてるな）喉をどうされましたか、と。むくれた顔が目に浮かぶ。笑いを噛み殺すのが一苦労だった。

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#twblnovel そうでした、ソウデシタ。（誰も信じるな）先輩の教え。姦計、裏切り、ぶつかる度に唱える。胸の痛みを懐かしい声で塞ぐ。腐った組織を優雅に泳ぐ、あのひとだけが僕の導だ。（全てを疑え）俺以外のことで泣くなよ、不敵な顔が脳裡に焼き付いている。僕はまた棘の道を行く。

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#twblnovel 「絶望的な人生の、お前はたった一筋の希望だ」熱っぽく輝く目を睨め付ける。「でも。離婚はしないんだ？」「なぜ」心底不思議そうに首を傾げる。「妻を守るのは俺の義務だ。それもお前がいるから頑張れる」ああどうして、どうしてこんな駄目な男じゃなきゃ駄目なんだろう。

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#twblnovel 大人の毎日は不条理だらけだ。人を踏みつけにするヒトのいかに多いことか。（だけど君）イヤホンで耳を塞ぐ。虹のような鮮やかな音色が聞こえた。（君が簡単に）世界を美しく彩ってくれる。幾つになろうがお前のために、かのピアニストの気障な約束は今も守られてここに在る。

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こんなあばら屋にいる筈のない者の後ろ姿を見た。 「今のは――」 　日高は無言で頷く。 「司法省に来ないか、とお声を掛けて頂いた」 「凄い仕官の口じゃアないか」 「だが行かん」 　日高の父は前参議前原一誠の乱に荷担し、戦死している。 #1RTごとに書く予定のない小説の一部分を書く

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「先輩の何を知ってるっていうんだ」 　知ってる。お前の彼氏ヅラしておきながら、他校に彼女がいる最低野郎だ。そうは言えなかった。 「それともお前が相手してくれるのかよ」 　答えに詰まった。行人は口の端を歪める。 「その気もない癖に」 #1RTごとに書く予定のない小説の一部分を書く

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「口付けな」 「嫌だ。僕の体液には毒がある」 　執行の胸板を突き飛ばした。びくともしない。却って腕を捉えられてしまう。 「だから、だろうが」 　身体を捩っても逃げられない。顎を無理やり上向かされた。 「放っておいても早晩死ぬんだ」 #1RTごとに書く予定のない小説の一部分を書く

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#twblnovel 案内板をとっくりと眺めて、歩き出す。「逆だ馬鹿」「ぐぇ」フードを引いて止められた。「なんで地図ガン見して真反対に行くかね」でっかい手がひらりと俺の手を捕まえる。（あったけー）頬が緩むのが自分で分かった。（ひとりだったら迷わない）この手があるから安心するのだ。

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#twblnovel 腹が空くから、食べる。（食べたいのはこれじゃない）耳寂しくて、音楽を聴く。（聴きたい音はこれじゃない）釦をひとつ掛け違えているような気持ちの悪さが常にある。「大人のくせに」うそ寒いから、ひとを抱く。（抱きたいのはお前じゃない）塗りつぶしようのない空白がある。

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#twblnovel 曇天が千切れて落ちてくるような雪空だった。「こんな日には犯罪が起こるよ」「探偵の勘かね」「ただの道理さ」（ああ、僕も）銀世界の中で君の舌だけが赤い。雪片がそこに舞い込んでは消える。（あすこに這入り込んでしまいたい）君に傘を差し掛けながら、姦通罪の幻をみる。

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#twblnovel 吐き出したいのに吐き出せない、うまく形をとってくれない。字引はあまりにも茫洋とした海で欲しいものは見つからない。「ヒョウゲンして」それが彼の好きな遊びだ。「スキってどんなふうに。どのくらい」金魚みたいに口をぱくぱくするばかり、僕の喉はいつも痞えている。

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#twblnovel 「メールのデータはどうしますか」ガラケーからスマートフォンへ。大学生から社会人へ。僕はだんだん変わってゆく。「新しい携帯でも見られるように」だけどきっと、へこたれそうなときの特効薬は変わらない。（元気か、とか。空が綺麗だよ、とか）君のメールに触れてみること。

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#twblnovel 拝啓。寒気も益々厳しいこの頃、如何お過しでせうか。硝子戸から見る庭も寂しくなつたやうです。或いは、僕の目が愈々駄目なのかも知れません。海の向こうの様子を聞かせてくれるなら成るべく早くに頼みます。君の武功はどれ程のものだらう。では、さやうなら。またいつか。

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#twblnovel 浅く広く、小器用が取り柄。それ以上は望まない。「専門は作らないの」先輩は首を傾げた。僕が基礎を組んだプログラムに加除修正を施す、手に一切の迷いはない。「ええ」ひとりの天才のために己を擲つのはおかしなことだろうか。（どうか犬みたいに使役して）心から満ち足りる。

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#twblnovel （もう少し早く出会っていたら）読書に没頭している横顔を見上げる。（お母さんとの関係も変わってたのかな）けれど出会いが異なれば、今と同じ関係は築けなかったかもしれない。「どうした」頭を撫でてくれる手が優しい。「いいえ、なんでも」隣にある肩に体重を預けた。

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#twblnovel かなわない、のだ。壁は遥か高く聳えている。性格。成績。――性別。「ねえ飯一緒に食お」不意を打つように罠を張る。いくつも張る。「デザート作った」勢いよく顔を上げた、君の眼鏡の向こうでまるい瞳がきらきらしていた。（かなわない、のか？）淡々と勝率を上げてゆく。

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#twblnovel 「ご奉仕します旦那様って言ってみ」「嫌だ」「じゃあ、お仕置きして下さいって」「恥ずかしい」「わかんねえな、ただ言うだけだろ。俺なら何でも言える。何か欲しい台詞ないの」（スキ。アイタイ）君が絶対に言わないこと。「……無い、かな」言わせたって意味の無いこと。

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#twblnovel 合コンの話を聞く。好みのアイドル、AV、元カノの話を聞く。胃の腑の辺りが重たくって吐いてしまいそうだった。「僕は聞きたくないのに」耳を塞ぐ。隙間からまだ聞こえる。「どうして話すの」僕には絶対になれない形のことを。「スキダカラだよ」君の言葉はいつも足りない。

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#twblnovel　あばら骨を抉って心臓まで届く洞（うろ）がある。化粧の濃い女が嘯く「サミシイナア」僕はドウデモイイって言ってやるだってこいつそれを幾らでも男に主張していいんだから。（寂しいとか、好きだとか）衝動に任せて伝えていいなら、こんな穴は生まれない。

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#twblnovel やだやだやだ痛い痛いやめて、って、言わせたいな。君は楽しそうに囁く。僕は渋面を作る。君の笑みが益々深まる。（ほんとは全部いいよって）別に被虐趣味は無いのだけれど。（君なら何してもいいよって答えたら）心配性。僕は唇を固く結ぶ。（飽きちゃうんですか、Ｓのヒト）

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#twblnovel 「時間じゃない？」「いーの。アイツ泣きそうな顔で待ってて、俺が行くとぱあって笑うの。謝ると、俺もさっき来たって嘘吐くの。可愛くて」「アンタいつか振られるか刺されるわ」「振られても、離れてやんない。刺されるのは……ちょっとイイね」最低、ママは吐き捨てた。

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#twblnovel 彼女？　会うの面倒。ごめんって言っときゃわかんねえよ。幾度となく冷笑する姿を見てきた。（今日もかな）約束の時間はとうに過ぎている。忠犬宜しく待ち続ける俺はばかだ。適当に謝られる立場を手に入れたこと、そんな場所に立ってしまったこと。退屈紛れに天秤にかけてみる。

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#twblnovel 泣き出しそうな雲の下、お前は首を傾げて見せる。「傘あるよ、一緒に帰ろ」「入れてくれんの」「いーよ」きひひと笑って耳打ちするには「お前のことスキだもん」俺の欲深さをひとつも分かっちゃいないのに。気持ち良くって、癖になる、胸の痛み。（知ってる多分すぐにふられる）

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#twblnovel 急に首を撫でられて私は原稿用紙を取り落としてしまった。「何、か、」痺れの残る膚を擦った。潔癖と思われたろうか、そんなことは良い。感触を消さなければ落ち着かない。「いいや。他意はないよ」「……ないんですか」あればいいのに。私は喉を鳴らす。先生はただ嗤っている。

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ふ、と、息を詰めるみたいに、詰る言葉を飲み込んで我慢する、感覚。ツンとした子、叱ってくれる子、僕はそうはなれない。馬鹿みたいに、スキ、を、垂れ流す。小柄な子、女の子、僕はそうはなれない。甘いお菓子を幾らあげたところで彼の味覚は喜ばない。僕は今日も苦虫を噛む。 #twblnovel

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携帯電話は鳴らない。メールは返ってこない。「カノジョ出来たの」訊くことさえ出来ない。女出来るまでお前と遊んでるんだ、勝手に決めた彼はいなくなるときも唐突らしい。会いたくないならそれでいいや、俯いたうなじに雪が降ってくる。（幸せに。幸せに）ジングルベルが響く。 #twblnovel

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壁に張り付いた蝉を見た。（煩えなア）翌日も見た。翌々日も見た。（お前の糧はそこには無いぜ）粘る空気を劈いて、何時まで喚き散らすのか。「じゃあ君の糧は何なのさ」邪気のない目は虫の複眼にも似ていた。「どこにあるの。此処にあるの？」煩えなア。答える言葉を俺は持たない。 #twnovel

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みんな嫌いみんな嫌いみんな嫌い全部怖い。誰かが怖い何かが怖い触れてくる手は汚い。捻り潰す動きでビニルをぎゅっと握る「アリガトウゴザイマシタ」。舌打ちして去ってく神様なんか有り難くもない。（早くお家に帰りたい）しょーごに会いたい、ただひとり奇麗なトモダチに。 #twblnovel

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誰でも良いんでしょうボクはたくさんのうちのひとつなんでしょう博士が生むたくさんのたくさんのうちのひとつ。精巧な感情プログラミングなんて全然褒められたもんじゃない。どうして記憶し続ける陽電子頭脳に無意味な思慕を織り込んだの、ボクは博士の背中を叩く。 #twblnovel