日本語版への書き下ろしメッセージをまとめました。
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講談社学術文庫&選書メチエ @kodansha_g

いよいよ発売が迫ったマルクス・ガブリエル『「私」は脳ではない』日本語版のために書き下ろされたメッセージを抜粋して先行公開します(*^_^*)今から連続ツイートします('◇')ゞ #マルガブのなぜセカ amzn.to/2ZqzZAQ pic.twitter.com/HqrfIKBfga

2019-08-26 13:08:53
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① 前著『なぜ世界は存在しないのか』に続き、三部作の残り2作(『「私」は脳ではない』と『思考の意味』)が日本語で出版されるのは、私にとって喜びであり、光栄なことです。2013年以降、私は何度も日本を訪れる機会を得ました。

2019-08-26 13:12:22
講談社学術文庫&選書メチエ @kodansha_g

② 哲学を愛する他の多くの旅人たちと同じように、私もこの国とそこに住む人々に感銘を受けました。日本という国には考えるきっかけがあります。啓蒙に寄与する伝統的な情報伝達メディアのレベルの高さに加え、新たなテクノロジーとメディアがまたたく間に浸透したことで、

2019-08-26 13:12:45
講談社学術文庫&選書メチエ @kodansha_g

③ 日本でも他の国々と同様、人間の自己理解のために哲学が革新的な貢献を果たすことが求められるようになりました。私が自著の数々で展開している新しい実在論は、21世紀の哲学として構想されたものです。

2019-08-26 13:13:07
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④ 本書のテーマになっているのは、人間を一つの総体として、すなわち自らの自己決定において自由な、精神をもつ生き物として認識することです。人間とは自己決定において失敗することがある生き物です。ですから、私たちは精神を病み、病的になることがあります。

2019-08-26 13:13:47
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⑤ 本書で名を明示し、その克服に努めることになる病とは、神経[ニューロ]中心主義です(同様に病的なヨーロッパ[ユーロ]中心主義と混同してはなりません)。神経中心主義とは、私たちの精神生活は脳と同一視することができ、

2019-08-26 13:14:15
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⑥ したがって人間を神経ネットワークに置き換えることができる、という考え方のことです。これは根本的に誤った考え方です。神経中心主義は人間をおかしくします。なぜなら、神経中心主義に侵されると、もはや私たちは自分自身を認識できなくなるからです。

2019-08-26 13:14:34
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⑦ 本書のクライマックスは、自己決定という精神の自由を擁護することです。これはフランス革命に始まった近代民主主義の基本であり、これからもそうであり続けます。

2019-08-26 13:14:55
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⑧ 本書を通じて日本との間に新たな友情の絆が結ばれ、21世紀の民主主義法治国家のために哲学と精神科学が果たす役割について、日本の皆さんと議論を交わすさらなる機会に恵まれることを願っています。 夏のある日の午前、ボンにて マルクス・ガブリエル

2019-08-26 13:15:18