
あそこから出たら燭台切と呼び、三日月のことも奥方と呼ぶ。そう厳命されている。命じられることには慣れている。そうなってしまったことが歯痒い。従わなければ三日月が酷い目に遭わされてしまうかもしれないと思えば、尚更逆らえなかった。叩き壊されたとしても、三日月への恋慕を枯らせることは
2019-01-06 17:53:44
できなかった。三日月が?わかった、ありがとう長義くん。そろそろ謙信くんのお昼寝に添い寝してあげる時間だからかな。早く行ってあげないと。小豆くん、先に戻るよ。ああ。三日月のことだとわかった途端に光忠はすぐに長船の棟へ戻っていった。追いかけて入れば、すでに光忠は御簾の内で三日月に
2019-01-06 17:53:44
触れていた。旦那さま、呼び立ててすまぬ。いいんだよ、ごめんね気づかなくて。カチリと鍵の開いた音。光忠は座りっぱなしだった三日月の足を少し揉んでやってから立ち上がらせた。大丈夫かい?ああ、大丈夫だ。…謙信、そろそろ手習いは済ませようか。お昼寝しよう。おやつの後はおじいちゃんが
2019-01-06 17:53:44
手合わせしてくれるそうだから。ほんとうか?おじいちゃん!本当だよ。謙信くんがどのくらい強くなったか見せてね?楽しみにしてるよ。謙信の前ではこんなに幸せそうな夫婦だというのに。じゃあ三日月、謙信くんよろしくね。あいわかった。さ、謙信。みかづきさま、きのうのおはなしのつづき!
2019-01-06 17:53:45
ふふ、あいわかった。では昨日の本の続きを読んでやろうな。三日月と謙信が、奥の部屋へと消えていく。見送った長義の肩に、光忠はポンと手を置いた。長義くん、今日は早めに湯浴みをしておいてね。小豆くんもわかってるね?え、なんで…。わかった、こりゅうたちにもつたえておく。よろしくね。
2019-01-06 17:53:45
今夜は長義くんも加わるからおやつの後は三日月を寝かせておこうかな。え…?夜のお楽しみ。君が三日月に言い寄った時は少し頭に血が上ったけど、よく考えたら君も長船の子だったから、三日月に惚れるのは仕方なかったってわかってね。どういう…こと、だ…?光忠は長義を見下ろした。あの御簾の内に
2019-01-06 17:53:45
入ることを許してあげる。え…?今夜は、ね。この本丸の三日月宗近は、燭台切光忠の妻、長船の姫。それがどういう意味なのか、はっきりとわからせてあげる。楽しみにしておいで?片方きりの黄金の瞳は、口元とは逆にひとつも笑ってはいなかった。真っ直ぐに見据えられて、身動き一つできない。
2019-01-06 17:53:46
これが長船派の祖の気迫か。今夜、一体何があるというのだろう。 目の前の光景が信じられなかった。雪のように白い肌を桜色に染めた三日月宗近が、目隠しをされたまま大般若と小豆から愛撫を施されて震えていた。ほとんど脱げている寝間着だったが羞恥心からか必死で下腹部を隠そうとしていて。
2019-01-06 17:53:46
そこがどうなっているかなど、見なくてもわかる。ようこそ、長義くん。ご苦労様小竜くん、加わって構わないよ。そうこなくっちゃね。立ち尽くす長義を置いたまま、小竜が三日月の背後にまわり、耳元で囁く。ほら、長義が見てるよ。三日月様がどんなに色っぽいか、見せてあげよう?え、ち、長義…?
2019-01-06 17:53:46
だめ、見ないでぇ…。怯えた声で拒もうとする三日月を見ていた光忠が、宣う。三日月、逆らうのかい?目隠しをされていても三日月の顔色が変わったのがわかった。あ、あ…。君達、三日月をイかせてあげてくれるかい?光忠の言葉を合図に責めが再開された。ひっ…ああああっ…!快楽に仰け反る三日月は
2019-01-06 17:53:47
昼間の清らかさとは真逆の妖艶さで。何も知らぬ身体に無理やり教えこまれた快楽に溺れさせられたような。実際そうなのだろう、三日月はもう息も絶え絶えで、啜り泣いている。もうやめてやってくれと言いたかったが、大般若がニヤリと笑った。ちゃんと反応してるじゃないか。若いねえ。
2019-01-06 17:53:47
どうせ抗えないんだ、こっちに来な。そうなのだ。身体の中心に集まる熱には、抗えなかった。監査官でいたままなら、こんなことは知らないで済んだはずなのに。けれどこんな三日月を知ってしまったら、もう、無理だ。ぐずぐずにされて乱れきった三日月はそれでも美しかった。長義が三日月の前で跪く。
2019-01-06 17:53:47
その姿に光忠は笑みを浮かべる。 もう、その後のことは覚えていない。気づいた時には御簾から出されて、小竜達に風呂に連れて行かれて湯船にいた。後戻りはもうできないぜ?夕餉の時に大般若に言われた言葉がぐるぐると回った。三日月は、長船の姫。そういう意味だったのか…。不思議と良心の呵責は
2019-01-06 17:53:48
なかった。ただ、触れれば愛らしい泣き声をあげる三日月を思い浮かべるだけでたまらない気持ちになった。 ほら、今だって謙信に添い寝しながらそのまま寝息をたてている三日月の首筋に触れ…ん、光忠?ぱち、と三日月が目を覚ます。ああ、長義であったか…。旦那さまかと思うた。謙信はもう少し
2019-01-06 17:53:48
寝かせるゆえ、静かにしてやっておくれ。そう微笑む顔はまるで聖母のようなのに…。燭台切、次は…いつ…?すれ違いざまに問いかけると、光忠は口の端を 上げた。 #長船三日
2019-01-06 17:53:48