本邦商船におけるストーカの装備状況
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天翔 @Tensyofleet

固体燃料である石炭は中々に扱いづらい代物で、一旦船に積んだら缶に投げ込むところまで機械化したい、と考えるのが人情。そうは問屋が卸さないのが現実。戦前「水管缶用のメカニカルストーカ」を装備したとされる船も、それほど数がある訳ではない。 jstage.jst.go.jp/article/jjasna… pic.twitter.com/xS6JWGYJTg

2021-12-05 19:35:17
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天翔 @Tensyofleet

一方で、円缶用のメカニカルストーカもあって、戦前日本では御法川マリンストーカーが有名なところ。 zousen-shiryoukan.jasnaoe.or.jp/wp/wp-content/… pic.twitter.com/eKH9O2t2ko

2021-12-05 19:43:51
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天翔 @Tensyofleet

日本で最初にストーカを装備したのは石原合名の浄宝縷丸と名古屋丸の姉妹船2隻で、輸入品のクラーク・チャプマン式(レゾルーター式)微粉炭燃焼装置を搭載している。。。が、どうも数年後に撤去されているらしい。 pic.twitter.com/D6ZE5ke6Tm

2021-12-05 20:10:56
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天翔 @Tensyofleet

浄宝縷丸(6,181総トン,石原合名→石原汽船)は1942(昭和17)年12月にセント・ジョージ岬沖で被雷、ラバウルで乗組員の手による10か月の修理を経て43年8月に出航したところ、その3日後に米潜水艦シルバーサイズ に撃沈されているのですが、その際の映像が残っています。 catalog.archives.gov/id/75782 pic.twitter.com/sNA1vToNEh

2021-12-08 18:52:43
天翔 @Tensyofleet

日本側の資料では1発被雷後に生存者が退船し、護衛の第24号駆潜艇の砲撃により沈没したことになっていますが、どうやらその後も浮いており、シルバーサイズが浮上砲撃・雷撃を加えて沈没に至ったようですね。 twitter.com/Tensyofleet/st…

2021-12-08 18:55:19
天翔 @Tensyofleet

浄宝縷丸は、鉄道連隊にいた祖父が中国~台湾~フィリピンと乗船したことがあるらしい(本人談)。時期的にも撤去されている筈ではあるが、ストーカが付いていたかどうか聞いてみたことがある。「機関室には入らなかったので分からない」とのことで、それもそうか。。。

2021-12-08 19:06:40
天翔 @Tensyofleet

戦後、メカニカルストーカ(自動給炭機)の大規模な導入を図ったのが青函連絡船。1950(昭和25)年には、車両渡船の渡島丸が御法川工場製の下込式ストーカを装備している。 zousen-shiryoukan.jasnaoe.or.jp/wp/wp-content/… pic.twitter.com/qF7oBxnMhR

2021-12-08 19:45:24
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天翔 @Tensyofleet

次いで洞爺丸事故後の58~60年にかけて、第七/十二青函丸、石狩丸、十勝丸と日高丸(共に復旧後)が同じく改良型の御法川式ストーカを装備した。残る2隻、第六/八青函丸には装備されなかったが理由はよく分からない。

2021-12-08 19:49:19
天翔 @Tensyofleet

一方、車載客船の羊蹄丸、摩周丸、大雪丸はいずれも1960(昭和35)~61年にかけて、重油焚に改装されている。。。が、このうち羊蹄丸と大雪丸には、どうやら新造時にストーカが装備されていた節がある。

2021-12-08 20:15:45
天翔 @Tensyofleet

円缶用の厚板が手配できなかったこの2隻には水管缶が載っており、併せて「久保田散布式ストーカ」なるものが装備されていたようだ。おそらく陸用ではあるものの、戦前メカニカルストーカの生産実績がある久保田鉄工所(現クボタ)製だろう。 zousen-shiryoukan.jasnaoe.or.jp/wp/wp-content/… pic.twitter.com/SgvT6hbUO5

2021-12-08 20:16:51
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天翔 @Tensyofleet

もっとも、このストーカは使いづらかったらしく、間もなく撤去されたことが記されている。 jstage.jst.go.jp/article/jime19… pic.twitter.com/QImi92ZbW3

2021-12-08 20:17:18
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天翔 @Tensyofleet

それでは、円缶を搭載していた洞爺丸と摩周丸はというと、新造時には搭載していなかったものの、後に搭載したらしき記録がある。洞爺丸は1954(昭和29)年夏のお召船になる前に、煙を減らそうということでストーカを装備したらしく、55年5月頃のことであったようだ。 pic.twitter.com/Loj31tsIQP

2021-12-08 20:39:48
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天翔 @Tensyofleet

55年5月>54年5月 洞爺丸が装備したのは、どうやら御法川式下込ストーカであったらしい。摩周丸については、装備の有無を含めてよく分からない。 pic.twitter.com/xoxgvAN7gh

2021-12-08 20:52:26
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天翔 @Tensyofleet

1970(昭和45)年3月31日、国鉄最後の石炭焚船となった十勝丸が終航となり、同時に青函連絡船のストーカの歴史もここで終わっている。

2021-12-08 20:58:03
天翔 @Tensyofleet

なお、ストーカを製作した御法川工場は、各種燃焼装置の製作事業を行いつつ現在まで存続している。 minorikawa.co.jp

2021-12-08 21:00:34
天翔 @Tensyofleet

「洞爺丸のボイラールーム」と題したとあるスケッチ。これを見て「?」と思うのは、舶用ボイラーについてちょっと詳しい人かもしれない。 pic.twitter.com/ZhtQvMRmyg

2021-05-05 22:23:25
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天翔 @Tensyofleet

図は湿燃焼室式(湿式)円缶だが、下側に三つ並んだ穴は火炉(ファーネス)で、ここで石炭もしくは石油を燃焼させて蒸気を作るもの。この火炉の配置は先のスケッチの∴ではなく∵になる。 pic.twitter.com/TqmIKpf6Nr

2021-05-05 22:30:45
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天翔 @Tensyofleet

。。。という指摘がすでにある。 舶用石炭焚きボイラとその焚火法 : 日本海軍における十能操法を巡って(坂上茂樹) dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/il/meta_pub/G0…

2021-05-05 22:33:20
天翔 @Tensyofleet

このスケッチを描いたのは熱力学の専門家。同じ著書には”LST(リバティシップ)”など他にも怪しいところがあるし、宗谷丸はレンツ機関ではないし、慶福丸は宮原缶ではない、というか宮原缶を積んだ連絡船ってどれだろう。 pic.twitter.com/w4zR7WL3Oq

2021-05-05 22:48:35
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天翔 @Tensyofleet

専門の少し隣にあるものは、かくも難しいものか、などと思うGW最終日。

2021-05-05 22:50:00
天翔 @Tensyofleet

一方でこちらは坂上先生の記述だけれども、洞爺丸の缶は強圧通風ですが、密閉式ではなくて解放式だと思います。 pic.twitter.com/UPcBsEK0cK

2021-05-05 22:55:15
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天翔 @Tensyofleet

洞爺丸型4隻は、主缶に円缶を搭載した2隻(洞爺丸・摩周丸I)と、円缶が調達できずに水管缶を搭載した2隻(大雪丸I・羊蹄丸I)に分けられる。前者の摩周丸には電動送風機室が8つあり、居住区用(緑)と機関室用(赤)以外の6つ(青)が缶室用と思われる(いずれも推定)。 pic.twitter.com/nVv221Uovf

2021-05-05 23:21:52
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天翔 @Tensyofleet

缶室密閉式であれば、缶室丸ごと加圧することになるので、出入り口にエアロックが要る。一方で、摩周丸の図面(青)にその記載はない。省略されているだけかもしれないが。。。 pic.twitter.com/4XlOTl6awC

2021-05-05 23:27:09
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天翔 @Tensyofleet

こちらは水管缶の大雪丸I、ただし洞爺丸事故対策後。缶への送風機と思われる装置(青)が缶室内に描かれている。 pic.twitter.com/gmj3fnaRnY

2021-05-05 23:33:35
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天翔 @Tensyofleet

そしてやはり出入り口にエアロックの記載はない(青)。先ほどの不確定名称缶送風機は青点線。 pic.twitter.com/dhTgNGtUFT

2021-05-05 23:37:40
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天翔 @Tensyofleet

最後に、タイプシップである翔鳳丸型連絡船。こちらも円缶搭載船と水管缶搭載船があるが、後者のみ缶室密閉式であることが分かる。 「日本近世造船史 大正時代」 dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid… pic.twitter.com/jW6m4peN8d

2021-05-05 23:50:33
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天翔 @Tensyofleet

年代的には相応だけれども、翔鳳丸型は甲板上に通風機室がない。 「鉄道技術発達史 第6・7・8篇」 dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid…

2021-05-05 23:56:31