鉱物一族ファンタジー与太話

きりゅー（悸霳） @cocas_kiryu

石英一族は鉱物界を代表する勢力である。主に瑪瑙一門と水晶一門から構成されており、中でも水晶は、ダイヤの名を冠する栄誉を得たハーキマダイヤモンド、固有の称号を授かっているアメジストやシトリン、といった多彩な血族に支えられ、鉱物界に広い勢力を広げている。 #ファンタジーで語る鉱物

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水晶一門はベースクラスである無色を軸に、高貴なる紫のアメジスト、絢爛たる黄のシトリン、深淵たる黒のモリオン、など称号を冠する者が多い。また慈愛の薔薇石英ローズクォーツ、狭間の煙水晶スモーキークォーツなど、称号はなくとも名の知られる血族が少なくない。 #ファンタジーで語る鉱物

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また、その勢力圏の広さ故にか、他の一族の加護を得る者も多く、トルマリンやルチルを内包する結晶が多く確認されている。金紅石の寵愛を受けた《ルチルクォーツ》は一目置かれる傾向にある。結晶のうち、明瞭な成長痕を残すものはファントムを名乗る事が許されている。 #ファンタジーで語る鉱物

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「まあ、見て…ルチルクォーツだわ」「あれが噂の針入りか」「綺麗な金。ルチルクォーツの中でもここ一番ですって」「確かに見事な内包物だ…」「…はっ、所詮ルチルの…金紅石のおかげだろ」「そうそう、ルチルの加護がなけりゃただのクォーツじゃねぇか」「……っ！」 #ファンタジーで語る鉱物

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コランダムは鉱物界のお貴族様である。紅のルビーと蒼のサファイアを擁し、ダイヤに比肩する知名度を誇る。しかし、コランダムに生まれた者のうち、栄えあるルビーを名乗る資格が得られるのは深く鮮やかな赤を持つ一握りに過ぎない。 #ファンタジーで語る鉱物

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限られた赤にのみ与えられるルビーの名。それを失ったものはサファイアとしての道を歩むことになるが、サファイアと言えばルビーと対の鮮やかな青という認識は根深い。赤に生まれず、青さえ持たないコランダムには、サファイアの名は、重く、痛い。 #ファンタジーで語る鉱物

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さて、前回のあらすじで赤以外はやや残念な感じになったコランダムですが、このコランダムと並んで宝石として有名なのがベリルさんのおうちです。緑柱石、という和名からも分かるように、代々緑色を持って生まれたものが「エメラルド」として力をふるっています。 #ファンタジーで語る鉱物

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ベリルで個別の称号を持つのは「深き緑のエメラルド」と「淡き青のアクアマリン」である。コランダム家のサファイアとは違い、他の色に個別の名前が与えられる事はない。しかし近年、レッドベリル、などと他の色を個別に評価する風潮が強まり下剋上の噂が流れている。 #ファンタジーで語る鉱物

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ベリル家の緑はエメラルド、青はアクアマリン、ほかはレッドベリル、イエローベリル、などと色名を冠していますが、近年はエメラルドやアクアマリンと同様に宝石として評価されるようになっています。むしろよく出るアクアマリンより高かったりして下剋上ばーんの気配。 #ファンタジーで語る鉱物

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そして全ての鉱物というか宝石、の頂点、王たる石がダイアモンド様です。平民出身の実力派豪族が石英一族、由緒正しい宝石格のお貴族がコランダムとベリルならば、侵すべからじ絶対領域の王家がすなわちダイヤ。多分そんな感じ。 #ファンタジーで語る鉱物

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なお、石英一族の双璧である瑪瑙一門ですが、強固な繋がりと階級でごりごり攻める水晶一門とは逆に、ちっさい分家がそれぞれ好きに生きているため、数は多いけどまとまりに欠けておりイマイチ輝けないでいる模様です（ #ファンタジーで語る鉱物

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特にスライス瑪瑙さんは緑とかピンクとかパンクでチャラい色に染まって観光地のお土産屋でお小遣い稼ぎに走っている姿をよく目撃されています。 #ファンタジーで語る鉱物

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さて、分家がフリーダムな瑪瑙さんだが、正確には玉髄(カルセドニー)一門という。水晶と並ぶ石英一族の一門である。ざっくりと、玉髄(カルセドニー)、瑪瑙(アゲート)、碧玉(ジャスパー)、くらいに分かれている。 #ファンタジーで語る鉱物

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一門の大元は玉髄なのだが、模様が綺麗な者は瑪瑙、不透明な色の者は碧玉、その他とか透明感のある奴とかは玉髄、くらいの感じで家が分かれているらしい。瑪瑙のうち、まっすぐに白い縞模様を持つ場合は格上げされてオニキスの名を授かる。 #ファンタジーで語る鉱物

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最近なぜかオニキス＝黒瑪瑙＝黒一色の玉髄、と認識されているが、ブラックオニキス、白黒の縞模様を持つ瑪瑙、が正しい。黒玉髄さんとオニキスさんは「うちカルセドニーなんすけどね」「俺なんか縞模様だからオニキスじゃないとか言われたし…」と首をひねっている模様。 #ファンタジーで語る鉱物

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赤系でストレート縞模様を持つ場合に与えられる名前はサードオニキス。赤白のまっすぐな縞を持つ瑪瑙さんである。縞模様がない赤(赤茶)は玉髄。ただのサードと呼ばれる事もある、けどあんまり機会はないので、本人も忘れてたりするとかしないとか。 #ファンタジーで語る鉱物

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なお、コレがヘマタイトか何かとつるんで真っ赤っかになったヤンチャ坊主は紅玉髄(カーネリアン)と呼ばれる。無地で半透明くらいなので、サード(茶褐色・オレンジ系)と同じく、家としては玉髄の所属になります。 #ファンタジーで語る鉱物

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その他、玉髄一門で名が売れてるのは、薄紫に白く波模様が入ったブルーレースアゲート、緑色に赤い転々が入ったブラッドストーン(ヘリオトロープ、血玉髄)、緑色の綺麗な玉髄(クリソプレーズ)などなど。正直どいつがどこの家だか分からないフリーダムさで出回ってる。 #ファンタジーで語る鉱物

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フェルドスパー。長石一門。独特のぼんやりとした青白い輝き、アデュラレッセンスを持って生まれた、カリ長石家の者に与えられるムーンストーンの称号が有名。斜長石の家で知られているのはラブラドライト。 #ファンタジーで語る鉱物

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長石一門はカリ長石の筋と斜長石の筋とに分かれ、カリ長石は正長石・玻璃長石・微斜長石・曹微斜長石、斜長石は曹長石・灰長石、の家に分化している。血を引く者の数だけなら鉱物界最大勢力だが、貴石としての実力者は割と少ない。正直、一族の関係はワケワカメである。 #ファンタジーで語る鉱物

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月の恩寵を宿したムーンストーンと対をなす、陽のサンストーンも長石一門（斜長石系・灰長石）の家から出る。正長石の家からごく稀に生まれる氷長石（アデュラリア）は、氷のように透き通った結晶内にムーンストーンの如き輝きを宿し、認知度はあまりないが実力者。 #ファンタジーで語る鉱物

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ちなみに斜長石系は昔、ステータス差（ナトリウム／カルシウムの割合）で6家くらいに振り分けられていたが、ややこしかったのか統合されて曹長石系・灰長石系の2つになった。しかしアピールを怠ったらしく、世間では未だ6家時代の扱いを受けてたり。詰めが甘いよ。 #ファンタジーで語る鉱物

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長石系と似たような感じで、ステータス（成分）の違いで分家が立っている名門に柘榴石（ガーネット）一門があります。二桁レベルで分家が立ってるとかややこしすぎるわ #ファンタジーで語る鉱物

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ざっくり言うと、ステータスシート「A 3 .B 2 (SiO 4 ) 3 」をもとにし、AにカルシウムCa、BにアルミニウムAlを割り当てれば「 Ca 3 Al 2 (SiO 4 ) 3 」になって、灰礬柘榴石（grossular） が爆誕、みたいな。 #ファンタジーで語る鉱物