(抜粋①)『関東大震災記憶の継承～歴史・地域・運動から現在を問う～』関東大震災90周年記念行事実行委員会、日本経済評論社、2014.10.20

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『わが指のオーケストラ』(第２巻)山本おさむ著、秋田文庫、2000.6.10. 『関東大震災記憶の継承～歴史・地域・運動から現在を問う～』関東大震災90周年記念行事実行委員会、日本経済評論社、2014.10.20 　第12章、関東大震災下に「誤殺」されたろう者について、小薗崇明は pic.twitter.com/WFqzcYh6IO

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東京聾唖学校の卒業生は朝鮮人と間違えられて虐殺されたが，自警団の誰何によって日本人か否かが問われており，そこからナショナルな身体を構築するにあたって音声言語の支配がいかに強固であるかを論じている。 pic.twitter.com/9Qg0UflaKM

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山本おさむの漫画『わが指のオーケストラ』秋田書店、1991-3　の22話は、1973年９月１日の『日本聴力障害新聞』(第266号)の「民族差別とろうあ者」を参考にしている。 　正確な日本語の発音ができないろう者が憲兵に呼び止められたら、もうおしまいだった。

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東京聾唖学校のある指ｹ谷町の自警団は「凶暴」と評された。大塚警察署では朝鮮人を保護するが、そのために自警団から恨みを買っていることが記されている。 pic.twitter.com/qTRnHIKaJr

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『二六新報』によれば、震災時「多数の聾唖者が傷害」されて「半死半生の憂き目にあった」とある。1920年に東京聾唖学校を卒業した大工「家中義雄」は、９月２日浅草からの帰途殺害された。時間は午後９～10時頃で、場所は浅草区新谷町第一飛行館付近(焼残地域として避難場所になっていた！)である。

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翌日区役所の手で火葬された。加害者は大和民労会の会員 [ 1921年に河合徳三郎が結成した土木系右翼団体 ] 。 《福田村事件でも、野田醤油労働争議(1922-28)でタコ部屋廃止などの和解に至るも大日本国粋会・大和民友会などの右翼団体による組合潰しが時代背景としてあった。》 pic.twitter.com/5kaAAkHhqu

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官憲側資料として、司法省による「震災後に於ける刑事事犯及之に関連する事項調査(秘)」がある。1923年11月15日までの起訴状況をまとめたもので、犯人氏名「滝戸峯島外２名」、犯罪事実として「日本刀及槍を以て殺害す」とある。官憲側の資料の特徴として、被害者の立場・背景は記されていない。

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中途失聴者の家中は1917年に東京聾唖学校講堂にて皇后の前で「音話」によって話すほどの優等生であったが、発声することができたからといって、関東大震災下での自警団の誰何に応じられたかどうかは疑わしい。おそらく読唇によって相手の主張を読み取ろうとしたと思われるが、虐殺された当時は夜間で pic.twitter.com/fpuWwFuuLO

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自警団は複数人いて、武器を持って殺気立っている。がなりたてる自警団の言葉を読唇によって冷静に理解することはほぼ不可能だろう。また発する言葉にも非常に厳しい要求がつきつけられる。地方出身者の日本人が方言によって、日本人と信じてもらえず殺害された事例もあるからである。

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(p.200)　関東大震災時に自警団の誰何における「日本人」の条件は、「日本語(標準語)」ができるか否かであり、文字言語ではなく音声言語に重点が置かれていた。関東大震災時のろう者は死と隣合わせだった。 pic.twitter.com/ypzt7TN2w7

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(p.202)　川本宇之介の口語法について、本田創史は「ろう者は内地にいる「国民」として「国語」教育を受けていたのではなく、《内地にいる植民地の人々》として、手話を禁じられ「国語」を強制されていた」と指摘している。 　口語法による教育は「正常者」への同化どころか漸近化にしかならなかった。 pic.twitter.com/uP6A4Dqqn3

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(p.205)　口語教育の隆盛期における音声言語の支配は、家中の死を不可視にさせた。 　川本が批判した社会は聴者とろう者の隔絶した社会であるが、現代はそのような社会になっていないだろうか。

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(抜粋①)『関東大震災記憶の継承～歴史・地域・運動から現在を問う～』関東大震災90周年記念行事実行委員会、日本経済評論社、2014.10.20 第１章、関東大震災後の社会と軍国主義への道(山田朗) 　関東大震災(1923年)からわずか８年で満州事変(31年)が起こり日本は戦争の時代に突入する。 pic.twitter.com/dEVVTR0Uas

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「デモクラシー」から戦争へ、何が日本社会を変えたのか？ (p.5)　大陸における権益の危機、国内における経済危機とあわせて、常設四個師団を廃止した宇垣軍縮は日本の職業軍人たちにとっては、国防と自らの生活の危機として受けとめられ、彼らを国家改造運動("昭和維新")へと走らせる契機となった。

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世界恐慌の勃発(1929年)によって国内の経済危機がさらに深刻化すると、国家改造運動は、満蒙の武力占領による「満州問題の解決」をめざす動きとテロリズムによる政党政治の打倒をめざす動きに収斂し、前者は満州事変として、後者は浜口雄幸狙撃、血盟団事件、五・一五事件となって噴出し、日本は戦争と

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テロリズムの時代へと暗転していく。 　関東大震災に端を発する社会不安・不満の鬱積を土台にして危機感が煽られた時、日本の政治と社会は急激に転回した。危機感は、日露戦争以来、日本が中国で拡大させてきた権益が脅かされているという焦燥感と、もう一つは政治経済の閉塞状況から来るものである。

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蒋介石政権をめぐる列強と日本のスタンスの乖離は、中国の権益をめぐる英米と日本の対立を次第に顕在化させていく。 　震災が起点となって、1920年以来の不況は震災恐慌という形で深刻化し、そこでの不良債権の処理をめぐって金融恐慌が起き、さらには世界恐慌が追い討ちをかけるという経済の

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負のスパイラルに日本は落ち込んでしまう。金融恐慌以降の経済状況の悪化は、中小企業・銀行の破綻・没落をまねく一方、財閥系大企業・銀行の隆盛を際立たせ、格差社会を多くの人々に実感させる結果となった。また、世界恐慌による輸出産業である製糸業(生糸生産)の大損害とデフレは、米価・繭価の

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暴落を招き、日本の輸出産業を底辺で支えていた農村を極端に疲弊させた。こうした経済状況の逼迫による社会的な格差・貧困の進展は、不平等感の社会的蔓延をもたらし、「四民平等」をもたらしたはずの明治維新以来の近代化が軍閥・藩閥・財閥などの特権階級を生み出したことへの反発が、政治不信や

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国家改造願望へと収斂されていく。 　政治の閉塞状況は、震災恐慌・金融恐慌・世界恐慌へと続く経済混乱への対応を誤った政党政治によってもたらされた。民政党は、世界恐慌の大津波が押し寄せてきたまさにその時に金解禁政策を実施し金本位制に復帰する(世界経済とストレートにリンクする)という

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防潮堤をあえて開放するという政策を実行してしまい、都市部・農村部をともに窮乏のどん底に陥れてしまった。時の民政党政権が信頼を失ったのはやむを得ない面があったが、それは単に特定政党の支持低下ではなく、政党政治そのものの信頼失墜につながったことがこの時代の特徴であった。

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世界恐慌によって急速に国内の経済状況が悪化するのと同時並行で、ロンドン海軍軍縮条約の締結(1930年)にともなう「統帥権干犯」問題が起き、政党政治排斥の空気は醸成された。もちろん政党政治の定着に伴う負の側面、政党政治の腐敗も、政党排斥の空気を自ら助長してしまった。

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「我田引鉄」(自分の選挙区に鉄道を敷設することで票を得る)という政権政党による露骨な利益誘導による選挙対策とその金権体質、野党による手段を選ばぬ倒閣戦術など、政党政治に対するマイナスイメージを強める要因が重なったといえる。

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1920年代から1930年代にかけて、日本の政治と社会を大きく変化させたのは、軍部を中心とした勢力が既存の政党政治を動揺させる方向に動いたからである。 　軍人たちを「国家改造」に走らせた底流には、日露戦争後にむしろ強まった軍部における藩閥支配による閉塞感、第一次世界大戦=国家総力戦を

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見聞することによる危機感があった。また、国際的な「協調」を大義名分にした軍縮の実行、とくに常設師団四個を廃止した宇垣軍縮(1925年)は、深刻な後遺症を残した。人員整理(職業軍人の馘首)と数多くの郷土部隊の廃止は、反軍縮の強いしこりを残したし、若手将校の中には長州閥を田中義一から事実上

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相続した宇垣一成に対する反発を生み出した。その宇垣が軍縮の推進者となったことが、昭和の軍閥抗争の源を作った。 　陸軍の中の「革新」をめざす運動は、1921年にドイツのバーデン・バーデンで永田鉄山・小畑敏四郎・岡村寧ニが盟約を結んだ時から始まるとそれているが、27・28年頃から彼らを中心と

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した活動はね「一夕会」の結成などに見られるように半ば公然たるものになってきた。そして、陸軍の「革新」というレベルから急速に国家全体の「革新」「国家改造」を志向するものへと変わっていく。こうした潮流は、「満蒙問題の解決が先か」(石原莞爾)、「国家改造が先か」(皇道派)という論争をも

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生み出していく。 　中国における権益問題(北伐による権益の危機)に端を発した危機感は、1930年代になると、経済状況の悪化を背景にした不安・不満の鬱積を土台に「国家改造」派によるテロ・クーデター未遂、対外侵略が続発するようになる。30年11月には浜口雄幸首相狙撃事件を皮切りに、31年３月には

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三月事件、９月には満州事変が、10月には十月事件が、32年２月には血盟団事件が起きた。この間に、政権は民政党から政友会へと代わったが、31年12月に成立した犬養毅内閣において皇道派・荒木貞夫が陸相に就任すると、「国家改造」派とりわけ皇道派はさらに勢いづいた。

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その犬養内閣も、海軍青年将校・陸軍士官候補生・血盟団残党・愛郷塾らによる五・一五事件によって首相が暗殺され、崩壊するにいたる。 　「憲政の常道」が確立したとされる護憲三派内閣の成立(25年)から五・一五事件(32年)までがわずか７年余り、関東大震災(23年)から見てもわずか９年のことである。

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歴史というものは動く時にはこのように急激に動くということである。 　中国情勢の変動(かつては権益問題、現在は領土問題)、経済的危機、大災害などによる社会的な不安・不満の鬱積という状態を見ると、1920年代から30年代初頭にかけての時期と今日は非常に多くの類似点がある。

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かつては、人々の危機感と政治不信が軍を中心とする「国家改造」勢力によって吸い上げられ、定着・安定したと思われた政党政治は瞬く間に崩壊してしまった。 　近代になってからのこの150年間、日本は中国・韓国(北朝鮮)との間でゆがんだ形でしか結びつきをもってこられなかった。

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それゆえに、中国・韓国(北朝鮮)がらみの問題が起きると、途端に排外主義的なナショナリズムが高揚しやすい素地がある。 　今日、政界やネット空間では、歴史修正主義的な言説が非常に強まっている。

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それらの主張しているところは、歴史を直視せず、「日本人としての誇りを傷つける」とみなされるものをなかったことにして、日本国家が行った政策の成功したと見える部分だけを自画自賛し、それをもって「誇り」としようとしている。

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人間は、心地よい成功が、次の失敗の伏線になったことを、さまざまな失敗が次の立ち直りの土台になったということを学ぶべきである。私たちの国家や社会の失敗を自省することは、決して「自虐」ではない。人間は、失敗から学ぶという叡智を持っている。

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だが、それと同時に、失敗をなかなか自覚できない、歴史の教訓をいとも簡単に忘れ去ってしまうという弱点を持っている。 　関東大震災から100年という節目にあたり、私たちはまさに歴史から何を学び、そこから未来構築のために何を生かしたら良いのか、その構想力を試される時に直面しているのである。

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第２章、震災90周年時の歴史研究と歴史教育の課題 ３、歴史教育の成果と課題 (2) 2013年の副教材等記述改悪問題 (p.16)　東京都は、2011年４月に全都立高校に『江戸から東京へ』(以下「準教科書」)を配布した後、日本史必修化が始められた12年４月には新版の準教科書を高校１年生全員分送りつけた。 pic.twitter.com/pCYTcbBU8T

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この際に、1951年アメリカ議会における「マッカーサー証言」を恣意的に引用してアジア太平洋戦争肯定化などの改悪が行われていた。ところが2013年版も再改悪が行われたことが判明した。12年度版までは「大震災の中で数多くの朝鮮人が虐殺された」と書かれていたが、13年度版では

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「碑には、大震災の混乱の中で、『朝鮮人の📌尊い命が奪われました』と記されている」とした。記者会見で猪瀬都知事は「形容詞を少し変えるぐらいのことは大した意味はない」と答えた。しかし大問題である。第一に、墨田区横綱町公園内の関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑文の一部を恣意的に利用している。

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碑文は「この歴史/永遠に忘れず…」という藤森成吉の献詞と、「…あやまった策動と流言蜚語のため６千余名にのぼる朝鮮人が📌尊い命を奪われました」と書かれている。「虐殺」という言葉は使用していないが、主旨は虐殺事件の追悼文なのである。 　第二に、歴史研究への冒涜である。

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今回の改悪は暴挙と言わざるをえない。 　類似の歴史教材改悪問題が横浜市で起こった。横浜の中学校副読本『わかる横浜』の関東大震災記述についてである。2009年度から使用されていた旧版では「政府は戒厳令を発動し、軍隊を横浜に出動させた。理由は自警団の中に朝鮮人を殺害する行為に走るものが

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いたからである」と書かれ、戒厳令発動の経緯・理由の記述などには問題が多いものだった。そのため執筆者(研究者)の要望を受けて、12年版は「自警団などは朝鮮人に対する迫害と虐殺を行い、また中国人をも殺した。…朝鮮人や中国人が虐殺される事件が起きた」と修正された。

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しかし12年６月末に産経新聞が批判記事を掲載し、政治問題化させた。７月の横浜市議会で自民党議員がこの報道に基づいて質問し、市長から「改善・改訂」を約束する回答を引き出した。市議会における保守派の攻撃が続く中で、９月25日に市教育委員会は、副読本の記述は「誤解を招きかねないのでこの点に

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留意して指導すること」「…『虐殺』という語句については『殺害』という言葉に置き換えて指導すること」などを要旨とする通知を各学校長に出し、28日付けで12年版修正に関して４名の職員を戒告などの懲戒処分とした。改悪される副読本は13年６月に生徒たちに配布された。asahi.com/articles/ASQD8…

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第３章、2003年「日弁連勧告」の意義と現状～差別的・排外的傾向が強まる中で　米倉勉 ２、朝鮮人虐殺事件の時代背景と異例の戒厳令 (p.22)　時代は朝鮮併合による植民地支配(1910年)から12年を経たころであり、抑圧された朝鮮人民の間には、独立運動が広がっていた。多民族に対する理不尽な抑圧は、

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常に、それが呼び起こす自らへの反抗・反撃への「不安」を掻き立て、この自ら招いた不安がさらなる弾圧を生む。1919年の「三一運動」を経て、当時のわが国の治安当局が抱えていた📌「自招の不安」は、震災による首都壊滅の状況下で、弾圧者が抱えるこのような危機意識、恐怖感を極限まで高めていた。

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(p.26)　実行者の刑責が緩和された事実は、虐殺行為を民間人に実行させた責任が、これを扇動した官憲にこそあったことを示していると言えよう。 　軍隊の行動という、純粋に国による虐殺行為が多数認められることは、この事件が国の責任による事態であったことを端的に示している。

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あたかも正当防衛による殺害であったかのように記載された例も見られるが、多分にあやふやな推測による「急迫不正の侵害」に過ぎず、日弁連勧告書は、事実は到底正当化できるような事態ではなかったろうと結論づけている。　[ggr→ 自招防衛] (p.27)　国の責任が何ら問疑されないまま放置されたことは

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公権力による差別的弾圧の正当化を意味している。すなわち被支配民族に対する差別の正当化が、そのまま社会的に承認され、まかり通ってしまったのである。 (p.28)　中国との尖閣、韓国との竹島をめぐる世論は、排外的・攻撃的論調を高めていて、国内の経済政策、社会政策への不満が対外的攻撃に

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すり替えられるというコースに向かわされている。 第７章、震災遭難児童弔魂像の建立と関東大震災の「記憶」　椎名則明 (p.91)　アルヴァックスは、個人が集団の成員として過去を想起する以上、「記憶」とは「個人的な現象」ではなく「集合的な現象」であるとして、「集合的記憶」の概念を提唱した。