dアニメでグラゼニ(探求中の高屋敷英夫さんシリーズ構成・全話脚本)周回、13話(2期1話)。 アニオリで現在パートを作って、現在→過去→現在という組み立てになっているのが凝っている。凝った時系列操作は、高屋敷さんの十八番。 グラゼニ13話 anime.dmkt-sp.jp/animestore/cd?…
2020-06-08 21:14:43開幕アニオリ場面の、夏之介がユニフォームを着る場面は意味深。 自己を表すものを身につける描写は、高屋敷さんがよく出すテーマ「自分とは何か」に絡まってくる。F-エフ-(高屋敷さんシリーズ構成・全話脚本)でも、自分を見失いかけた軍馬が、レーサーの格好で一般車に乗る場面がある。 pic.twitter.com/LLECecOV5V
2020-06-08 21:24:31また、「爽やかだった五月の風は、すでに厳しい残暑の熱風に変わっている」(夏之介のナレーション)など、高屋敷さんが得意とする、季節を表す風流な言葉がアニオリで出る。 RAINBOW-二舎六房の七人-(高屋敷さんシリーズ構成・脚本)でも、時折風流なアニオリナレーションがある(「夏の終わりの雨」等)
2020-06-08 21:34:50シリーズ構成としては、1期最終回12話で「自分とは何か」をある程度掴み、誇りと悟り、そして夢がある夏之介が描かれたが、今回は、××により野球ができずにいたことが夏之介のナレーションで語られる。 これは「自分とは何か」が揺らぐ深刻な事態。
2020-06-08 21:44:10F-エフ-でも、レースができず軍馬が苦しむアニオリエピソードが続いた。 グラゼニの場合は、1期12話の、夏之介のアニオリ独白「(野球は)好きで選んだ道」があるからこそ、夏之介が野球を出来ないというのが、どれだけ深刻な事態なのかわかる仕組みになっている。
2020-06-08 21:49:43その証拠に、渋谷と大野が、××当時の夏之介のことを「落ち込んでた」「死にそうな顔してた」と言っている(アニオリ)。 これは「他者から見た夏之介」であり、なかなか貴重な言葉(アニメではナレーションが夏之介なので、視聴者は時折煙に巻かれる)。 また、渋谷・大野との友情描写も強化されている。 pic.twitter.com/TS2b8j7hLv
2020-06-08 21:59:58「他者と夏之介」といえば、今回は監督やコーチ、ライバル的存在の関谷(アニオリ台詞あり)、エースの椎名、先輩の徳永、友達の渋谷と大野から見た夏之介が描かれている。 「自分とは何か」は他者がいなければ見えて来ないわけで、考えさせられる。また、温かい人情描写も高屋敷さんの持ち味。
2020-06-08 22:10:37そんな人達に囲まれて夏之介が復帰し、今度は優勝に貢献することを目指す。1期1話もそうだったが、2期1話も、まるで最終回かのように綺麗にまとまっている。 これは凄い事だと思う。
2020-06-08 22:17:31ちなみに前書いた、グラゼニ13話についてのブログ記事はこちら: makimogpfb2.hatenablog.com/entry/2019/03/…
2020-06-08 22:19:18dアニメでグラゼニ(探求中の高屋敷さんシリーズ構成・全話脚本)周回、14話(2期2話)。 前にブログで書いたんだけど、これも他者(樹)を観察することで「自分とは何か」(高屋敷さん的テーマ)を夏之介が突き詰めて行ってる感じがしている。 グラゼニ14話 anime.dmkt-sp.jp/animestore/cd?…
2020-06-08 23:35:55夏之介の樹に対するフラストレーションは、15話でMAXになるわけだけど、「自分=プロ野球選手である」ことが非常に重要であり、「僕には野球しかありませんから」である夏之介にとっては、「甘チャン」である樹を見てイラつくのは当然。また、視聴者がそう思える構成になっている。
2020-06-08 23:48:43一方、渋谷・大野・徳永との友情描写は、今回も強化されている。マウンドの夏之介をこの3人が見守っているのはアニオリ。そしてこれもまた、「他者から見た夏之介」。アクシデントで辛い思いをしていた夏之介を知っている、三者三様のリアクションが見れるのは貴重。
2020-06-08 23:56:37そんな夏之介の復帰登板を樹が台無しにしてしまうわけだが、大好物のからあげチャーハンとユキの笑顔が、失意の夏之介を癒すというアニオリ展開が、「食」と「笑顔」を大事にする高屋敷さんらしい。 どうも高屋敷さんは「孤独は万病の元、食と笑顔は万能薬」といったようなポリシーがある気がする。 pic.twitter.com/YF8t0vjUzV
2020-06-09 00:18:09また、このキッチン味平のアニオリ場面でも、夏之介は「一般人やユキから見た自分」を突き付けられる(顔バレしない)。ただ、モブは夏之介の名前や特徴を口にするという進展もある。このように、キッチン味平を使い「自分とは何か」が測られていく。
2020-06-09 00:26:04そしてラスト、モップスファンのユキに心の中で謝りながらも、優勝するのは自軍で、その優勝に貢献するのだと夏之介が奮起する(アニオリ)のが熱い。 このあたり、アニメ独自に付加されてきた夏之介の「熱さ」を出すのに余念が無い構成。 pic.twitter.com/bFSrzFxjcB
2020-06-09 00:44:40誤字
モップスファン→テンプターズファン
阪神を巨人と間違える級の痛恨のミス…!すいません
ちなみに、前書いたグラゼニ14話についてのブログ記事: makimogpfb2.hatenablog.com/entry/2019/03/…
2020-06-09 00:47:08dアニメでグラゼニ(探求中の高屋敷さんシリーズ構成・全話脚本)周回、15話(2期3話)。 夏之介マジギレ回。こんなに他人に対し彼が真剣に怒ったのは、原作を最新刊まで読んでも、ここだけの気がする。 1期から更に畳み掛けるように、夏之介の内面に入る構成。 グラゼニ15話 anime.dmkt-sp.jp/animestore/cd?…
2020-06-09 21:53:01アニメでは飄々とした夏之介のナレーションが、視聴者を少々振り回す仕組み。 そして今回、1期から積み上げた夏之介の「熱さ」が爆発する。 しかしいきなりではなく、導火線は1期からあった。 特に6話の「負けたくない」、12話の「好きで選んだ道」(いずれもアニオリ)という夏之介の独白に表れている。
2020-06-09 22:01:001期でじっくり、夏之介の抱く「誇り」「悟り」「熱意」を描いたため、2期序盤は××で野球ができない時期があったことが、視聴者にはショッキングに映る。そこへ樹が加わると、視聴者も夏之介も一気にフラストレーションが貯まる。こういう構成も上手いというか、「やられた」と思う。
2020-06-09 22:10:36また、夏之介が怒る際の長台詞は、彼の熱意と決意が一気に表出している。1期から「実は熱い男」だとわかっていても「こんなに熱い男だったのか」と驚かされる。 1期を下地に、もっともっとキャラの内面を掘り進むのが2期。高屋敷さんが24話全て脚本を書くということの(いい意味での)恐ろしさを感じる。 pic.twitter.com/iEnEqU86NB
2020-06-09 22:22:38高屋敷さんが1話のみでもキャラの掘り下げを十分に行えるのは、同氏キャリア初期から明確。それの24倍という考えで行くと、結構恐ろしい。 ぶっちゃけ、2期での感情の発露に驚いて、夏之介が凄く好きになってしまった。 前も書いたが、高屋敷さんは「キャラの魅力を出すための構成」が非常に巧み。
2020-06-09 22:34:07これはカイジやF-エフ-(いずれもシリーズ構成・脚本)でも実感した感覚。これは身を持って知ったが、「文芸面からのキャラメイキング」はできるということがわかった。 アニメなんだから絵で惚れさせることに目が行きがちだが、ストーリーがあって更に輝く事もあるというか。
2020-06-09 22:39:26これも以前書いたことだが、夏之介は三枚目なので絵で惚れさせるのは難しい(アニメはかなり可愛くなってるが)。そうなると文芸面の腕の見せ所。で、結果私は「やられた」。でも、得られたものは大きい。
2020-06-09 22:45:00ちなみに、以前書いたグラゼニ15話についてのブログ記事はこちら: makimogpfb2.hatenablog.com/entry/2019/03/…
2020-06-09 22:47:20dアニメでグラゼニ(探求中の高屋敷さんシリーズ構成・全話脚本)周回、16話(2期4話)。 夏之介号泣回。やっぱりこれも、1期のキャラ掘り下げがあったからこそシンパシーを感じる。本当に2期は心が揺さぶられる回が連発される。また、そういった構成になっている。 グラゼニ16話 anime.dmkt-sp.jp/animestore/cd?…
2020-06-09 23:29:33なんで夏之介の号泣に胸を打たれるかといえば、「野球で生きるのが自分」という夏之介の熱意と覚悟が、1期から痛いほど視聴者に伝わっているからだと思う。 2期は、夏之介の「生きること、自分であること=野球」という「悟り」が大きく揺さぶられる出来事があったわけで、この1期と2期の区切りも凄い。
2020-06-09 23:47:592期序盤の挫折もあり、夏之介は一層張りつめた思いで野球をしてきたわけで、その緊張が一気に解け号泣する姿は泣ける。 「おれは今頃潰れていたかもしれない」は原作だとモノローグだったが、アニメでは口に出している。ここも、アニメ独自の「熱さ」が積み上がっている。こういう細かい改変も上手い。 pic.twitter.com/OTp4S1zZLD
2020-06-10 00:11:01あしたのジョー2(高屋敷さん脚本参加)ではボクシング、F-エフ-(同氏シリーズ構成・全話脚本)ではレース、そしてグラゼニでは野球…という「生きがい」が主人公にはあるわけだが、丈はボクシングに命を燃やし生死不明、F-エフ-の軍馬は、レースできなくなる危機に精神がボロボロになる。
2020-06-10 00:25:17つまり、「生きるのと同義である競技」ができなくなるというのは心身の「死」のようなもの。夏之介は一時的にその瀬戸際にいたわけで、彼の号泣で、それに気付かされる。 また、この15・16話がなかったら、夏之介をここまで好きになっていなかったかもしれない。この構成にもやられっぱなし。
2020-06-10 00:35:40ちなみに、前書いたグラゼニ16話についてのブログ記事: makimogpfb2.hatenablog.com/entry/2019/04/…
2020-06-10 00:37:31dアニメでグラゼニ(探求中の高屋敷さんシリーズ構成・全話脚本)周回、17話(2期5話)。 数ある高屋敷さん脚本作の中でも屈指の傑作。 アカギやカイジでも、ロケーションが動かない話が続くわけであるが、緊張感が半端なかった。 それを思えば、密室劇は得意なのかもしれない。 anime.dmkt-sp.jp/animestore/cd?…
2020-06-10 22:29:53前も書いたが、カイジ2期7話(高屋敷さん脚本)の、大槻が3回サイコロを振るだけの話、MASTERキートン8話(同氏脚本)の、誘拐犯と交渉するだけの話と同じく、今回はロケーションが殆ど動かない(ラジオ生放送)。こういう状況で緊張感を持続させ、飽きさせないようにするのは本当に高度な技術だと思う。
2020-06-10 22:37:56そういった技術もさることながら、シリーズ構成としての、夏之介の掘り下げも進んでおり、非常に負けず嫌いな彼の一面が見えるようになっている。 終盤のアニオリ展開(徳永との会話)もそれを表していて、××の結果が本当に悔しかった夏之介の思いを汲み取る徳永の優しさが出ている。 pic.twitter.com/OS1l2UZySd
2020-06-10 22:48:48また、ラストの夏之介のアニオリ独白「秋風が身に染みる痛恨の夜でした」だが、ちょくちょく季節のわびさびを出す高屋敷さんの特徴が出ている。 あと、大野や渋谷の友情もアニメでは強化されているが、夏之介を見守る様子をアニオリで出すなど、徳永の後輩思いな一面も強調されている。
2020-06-10 22:55:25原作では、徳永の存在がどんどん大きくなっていくので、それも踏まえているのかもしれない。 とにかく密室劇を見せる上手さ、終盤アニオリの秀逸さ、キャラの掘り下げの見事さ、シリーズ構成のぬかりのなさなど、高屋敷さんの職人技が詰まっていて、何回見ても飽きないし、この話単体で見ても面白い。
2020-06-10 23:05:20ここ数年高屋敷さんの担当作を追ってきた私だが、まさかこんな近年(2018年)に同氏脚本の傑作が拝めるとは、思ってもみなかった。 私としては大興奮だったし、いつでも最新作に全力投球する同氏の姿勢は本当に敬服する。 ちなみに前書いた、グラゼニ17話についてのブログ記事: makimogpfb2.hatenablog.com/entry/2019/04/…
2020-06-10 23:14:35dアニメでグラゼニ(探求中の高屋敷さんシリーズ構成・全話脚本)周回、18話(2期6話)。 泣ける話。17話ほどではないが、こちらも6割くらいはロケーションが動かないのに飽きさせない。これは本当に凄い技。 また、2期は非常にウェットな構成だと気付かされる。 グラゼニ18話 anime.dmkt-sp.jp/animestore/cd?…
2020-06-11 00:02:40今回は是川を通して、野球で生きること、野球を、チームを愛するとはどういうことかを考えさせられる。 2期半分の地点にこの話が配置されているのも考えさせられる。 是川も夏之介も、キッチン味平でプロ野球選手と認識されないわけだが、高屋敷さんの提示する「自分とは何か」がやはり絡まってくる。
2020-06-11 00:10:58この前、「熱く野球をやってる人を見ると、夏之介は微笑む」アニオリ要素があると書いたが、今回は微笑を通り越して、夏之介が満面の笑顔になる(アニオリ)。これは野球とチームを愛する是川に対し、夏之介が自然と敬意やシンパシーを感じているからではないだろうか。 pic.twitter.com/Hlv8JDZiUL
2020-06-11 00:19:33高屋敷さん担当作には、「原作にはない笑顔」が結構ある。 同氏は「食」と「笑顔」を重視する傾向があり、今回もそれが感じられる。 また、今までの「アニメ版夏之介」のキャラ性の積み上げにより、「こういう時に笑顔を見せるキャラだろう」となるのかもしれない。
2020-06-11 00:29:14F-エフ-(高屋敷さんシリーズ構成・全技脚本)でも、原作に無いどころか、原作と180度違う軍馬の「微笑」があった。 こちらもこちらで、アニメ版軍馬はこうなのだ、自然にこうなるのだという強い主張が見られた。 pic.twitter.com/23jMJPefSK
2020-06-11 00:33:58F-エフ-にしろグラゼニにしろ、いきなりではなく、じわじわとしたボディブローのように、「アニメ版の」キャラが形成されて行っている。その結果が「原作にはない笑顔」なんだと思う。 原作クラッシャーの出崎統さんゆずりか、高屋敷さんも原作クラッシュを、やる時はやる。しかも、かなり巧妙に。
2020-06-11 00:40:38この「水面下で行われる巧妙な原作クラッシュ」の「巧妙」の部分は、じゃりン子チエの脚本で磨かれたと思う。じゃりン子チエの高畑監督は、原作にド忠実でありながら、なぜかテーマは高畑監督のものにすりかわっている―という、ある意味原作クラッシュよりも(いい意味で)タチが悪い事をやってのける。
2020-06-11 00:47:05つまり、出崎統式と高畑式のハイブリッドである、高屋敷式原作クラッシュもまた、(いい意味で)非常に恐ろしいものだと感じる。更に怖いのは、視聴者や原作者も、原作クラッシュだと感じない原作クラッシュも行われるところ。 ともかく、原作つきアニメをアニメたらしめるための技術が駆使されている。
2020-06-11 01:02:12