TV等で観た映画の感想… リトル•ダンサー 甘い鞭 スパルタカス カリスマ A.I. 西の魔女が死んだ リトル•フォレスト夏•秋 リトル•フォレスト冬•春 ナイト•オン•ザ•プラネット
0
減るヤスミ @hel_yasumi

映画「リトル•ダンサー」 舞台は1980年代半ばの英国、地方の炭鉱街。そこに住む11歳の少年ビリーは、父と歳の離れた兄、認知症の祖母と4人で暮らす(母は他界)。炭鉱は労働争議に揺れ、父と兄もそれに参加。そんなある日、ビリーが通う市井のボクシングジムに、バレエ教室が間借りしてくるのだった。

2022-05-21 01:15:29
減るヤスミ @hel_yasumi

そこで初めてバレエを目にしたビリーは、拳闘そっちのけで教室に参加。師となる女性講師と出会い、二人三脚で地道な努力を重ね、ロンドンはロイヤルバレエ学校への入学を目指すのだが、「男らしさ」をかざす父と兄の反対や、ストに揺れる社会情勢、経済的な逼迫で、少年の夢は一度潰える。

2022-05-21 01:40:21
減るヤスミ @hel_yasumi

その後、家族は先の見えない生活の中で疲弊して行く。そんな困窮の最中、運命は好転。クリスマスの夜、ビリーは友人とバレエで戯れている姿を、父に目撃されてしまう。追い詰められたビリーは、父の目前で一世一代の踊りを披露。そしてそれを目にした父は驚嘆し、息子の才能を確信するのだった。

2022-05-21 01:57:01
減るヤスミ @hel_yasumi

そこからは歯車が噛み合い、家族は一丸となってビリーのバレエダンサーになる夢を後押しする。 …こちらは、胸のすくジュヴナイルであり、教養小説。人生の障壁や影に落ち込みすぎずに進む主人公と家族の姿が、眩しい。人は夢を見て生きていられる。そんな夢を見せてくれる映画でした😊

2022-05-21 02:05:45
減るヤスミ @hel_yasumi

石井隆の映画「甘い鞭」を観ていた。壇蜜主演、というかもう一人、間宮夕貴も主演か。二人は”奈緒子"という主人公の、現在と過去(32歳と17歳)をそれぞれ演じる。少女の奈緒子を襲った拉致監禁事件が、今も彼女に深く影を落とすが、それは悦楽と苦行の惨劇へと繋がる。受難を洗い流すは、赤い血の雨。

2022-09-14 03:04:19
減るヤスミ @hel_yasumi

石井隆映画にはお馴染みの、竹中直人も出演。秘密クラブに出入りする、サディスト役を演じていました。竹中直人は劇画家時代からの石井隆ファンで、名美シリーズなどを愛読していたそうですね😉

2022-09-14 03:12:23
減るヤスミ @hel_yasumi

血と暴力を描く映画は数あれど、石井隆作品のように「痛み」を強く感じるものは、やはり稀有。他だと豊田利晃作品に似たものを感じるけれど。

2022-09-14 03:17:49
減るヤスミ @hel_yasumi

スパルタカス(米1960) 紀元前1世紀、共和制ローマとその周辺を舞台としたスペクタクル。奴隷の身分であった剣闘士スパルタカスは、イタリアのいち地方で反乱を起こし、次々と農園や都市を制圧。各地で奴隷を解放し、行軍はその数を増やす。そして目指すは船での大脱出、奴隷制からの離脱だった。

2022-09-16 03:21:32
減るヤスミ @hel_yasumi

順調だった奴隷たちの行軍も、ローマ軍の指揮官クラッススの登場により鎮圧。双方がぶつかり合う合戦シーンは、剣戟と炎が彩る凄まじいものだった。そして敗戦後、生き残った奴隷たちは捕われ、ローマへの道すがら次々と処刑される。そして最後に残ったのが、スパルタカスと腹心の部下アントニウス。

2022-09-16 03:41:46
減るヤスミ @hel_yasumi

敗戦後はローマを舞台とした群像劇となり、人々の様々な想いが交錯する。スパルタカスとその妻パリニア。パリニアを捕らえ、横恋慕する敵将クラッスス。クラッススの専制を厭う、大衆派の元老院。そしてクライマックスとなるスパルタカスと妻との別離。磔刑の夫の足に縋る妻の姿に、胸打たれた。

2022-09-16 04:00:54
減るヤスミ @hel_yasumi

スパルタカスとアントニウス。血は繋がらぬが親子のように慕い合う二人の決闘のシーンも、熱かった😭 こちら監督はスタンリー•キューブリックですが、あまりその個性は感じられなかったかな?😅 しかし大エンターテインメントたる本作、見応え十分の傑作でありました😄

2022-09-16 04:10:28
減るヤスミ @hel_yasumi

「カリスマ」(黒沢清監督) 生きる力は、殺す力。 人家もまばらな山間の地。草原に立つ一本の樹、名は「カリスマ」という。その根は毒素を吐き、土壌を汚染して周囲の植物や森を枯らす。そんな寂れた土地に迷い込んだ男、藪池。刑事である彼は、カリスマを巡る奇妙な騒動に巻き込まれて行くのだった。

2022-10-19 00:32:59
減るヤスミ @hel_yasumi

カリスマが枯れぬよう、世話をする青年。生態系を戻す為、カリスマと森の全てを根絶しようとする女性植物学者。また、その妹。山に植林するも、一向に根付かぬことに苛立つ一団。そしてカリスマの希少性に目をつけた植物採集業者。そんな人々の争いは、さながらカリスマと森の草木たちの関係にも似て。

2022-10-19 00:53:36
減るヤスミ @hel_yasumi

謎の希少種である樹木は、その名の通り「カリスマ」を象徴する。吐く毒は周囲を冒すが、それに惹き寄せられる者も多い。そんな風に、この作品では森の生態系と、人の世の近似性を指摘。そして己が生きる力は、他者を殺す力と同義•同質なのだと。その本質に辿り着いた藪池の選択は? というのが本作。

2022-10-19 01:33:14
減るヤスミ @hel_yasumi

映画「A.I.」 未来の貴種は、人が作りし人工知能か?そんな流離譚。人間の女性を母と慕う、少年ロボット•デヴィッド。愛の機能を宿す彼だが、母とその家族に棄てられる。放浪する彼は、かつて聞いた寓話に倣い、自らを人間にしてくれる妖精「ブルーフェアリー」を探す。それは二千年に及ぶ旅となった

2022-11-12 03:13:47
減るヤスミ @hel_yasumi

人間になって、再び母の愛を得ようとするデヴィッド。彼の願いを叶える旅の果ては、海で氷漬けにされた二千年間の先の、人類の死滅した世界であった。そこに遺ったのは、進化を遂げたA.I.たち。彼らの進歩した科学を助力に、デヴィッドは母と再会する。それは儚くも、永遠の一日であった。

2022-11-12 04:12:15
減るヤスミ @hel_yasumi

母は眠りにつく時、再び旅立つ。そんな短き邂逅だった。デヴィッドは逝く母に添い寝し、そして夢の世界へと誘われる。少年ロボットが誕生して以来、初めて迎えた眠り。その時、デヴィッドの「人間となる」という願いは成就されたのだろう。人は眠る、そしていずれ旅立つ。そんなものだから。

2022-11-12 04:15:19
減るヤスミ @hel_yasumi

映画「西の魔女が死んだ」 中学生の少女•まいは、ある日を境に学校へ通えなくなる。案じた母はまいを連れ、一人暮らしの祖母の元へ。野山の、森の中の一軒家。そこにまいは預けられ、祖母と二人での生活が始まる。祖母は英国からやって来た女性。そして彼女はまいに告げる。自分の正体が「魔女」だと pic.twitter.com/RNpVc7ebih

2023-01-18 05:15:11
拡大
拡大
減るヤスミ @hel_yasumi

原作は梨木香歩のジュヴナイル。監督は長崎俊一。作品は、ドロップアウトした少女が自然に囲まれた暮らしの中、魔女修行なる祖母の指導のもとで、生きる力を取り戻して行くという物語。原作でのまいの心の声は、映画では少女の所作として描かれる。そんな点でも見事な映像化であった。

2023-01-18 05:39:10
減るヤスミ @hel_yasumi

例えば序盤の、祖母、母、まい、三人の食事の場面。まいはサンドウィッチに挟まれた香草が嫌いで、食べる前に手で除くのだが、原作ではそれを少女視点で詳しく述べている。そして映画ではそれを、まいの手元の動きと表情を映すことのみで描く。台詞なしで。心の機微を、とても繊細に描いているのだ。 pic.twitter.com/xUPL0XBN2p

2023-01-18 06:05:31
拡大
減るヤスミ @hel_yasumi

英国伝来の「西の魔女」である祖母。彼女の、孫娘まいへの慈しみや愛情は、とても深い。限りない優しさに満ちたそれは、生きることへの不安に満ちた少女を暖かく包み込む。魔女の智慧は、少女に生きる勇気を与え、そしてほんの少しだけ世界の神秘を垣間見せてくれた。この世界は、まだまだ素敵だよ、と

2023-01-18 06:32:25
減るヤスミ @hel_yasumi

映画「西の魔女が死んだ」の主役、英国出身で流暢な日本語を話す「おばあちゃん」。こちらを演じたのは、日本育ちのサチ•パーカー。何と彼女はシャーリー•マクレーンの実子だとか😳 ん?それだと役の年齢設定と合わなくない?と思うのだが、実際「老け役」を演じていたそうです、パーカー氏 👩→👵

2023-01-18 06:58:23
減るヤスミ @hel_yasumi

映画「リトル•フォレスト 夏•秋」 東北地方のある山村。その中の集落「小森」で、ひとり自給自足の生活に励む若者•いち子。作品は四部構成で、この「夏•秋」は第一部と二部に当たる。沢と森と田んぼに囲まれた一軒家に住み、山の恵みと農作物を食む。そんな いち子の暮らしぶりを描いたのが本作。 pic.twitter.com/LB6MeaY63k

2023-01-20 02:34:50
拡大
減るヤスミ @hel_yasumi

いち子の住まいは実家なのだが、今はそこに一人暮らし。彼女は日々、田んぼや畑を耕し、そして収穫をする。沢の岩魚を捕らえ、飼っている合鴨をしめ、山からはアケビを摘み、栗や胡桃などを拾う。そんな地産の食材で作る料理が次々と紹介されるのだが、これがある意味、飯テロ🤤 そして作品の目玉なり

2023-01-20 03:07:06
減るヤスミ @hel_yasumi

そんな日々と共に、いち子の半生も描かれる。一度小森を出て、街で暮らしていた彼女は、パートナーとの同居の解消を機に実家へ戻って来たのだった。そして浮かび上がる、もう一つの懸念。現在離れて暮らす母からの手紙が、いち子の元に届く。何故、母は実家に居ない? その謎は第三部で明かされるのか

2023-01-20 03:47:37
減るヤスミ @hel_yasumi

映画「リトル•フォレスト 冬•春」 原作•五十嵐大介 監督•森淳一 主演•橋本愛 東北地方の山村、その中の集落「小森」を舞台にした四部作。こちらはその後半部に当たる。雪国の特色である冬の暮らし、そして芽吹の季節への移ろい…そんな小森で独り、自給自足の生活を送る若き女性、いち子の物語 pic.twitter.com/G12L4koW8H

2023-01-22 03:38:51
拡大
減るヤスミ @hel_yasumi

冬から春にかけての小森。雪国の暮らしは、他にはない特色を見せる。いち子が作る料理や食材、冬の生活様式は、北国ならではのものだった。そして雪解けの後に迎えた春。いち子は新たな農作業の準備には取り掛からなかった。それは、彼女が小森を出て行ってしまったから。

2023-01-22 04:34:32
減るヤスミ @hel_yasumi

いち子は再び街に戻った。それは小森での暮らしが逃げ場にならないよう、力をつけるために。そのきっかけの一つは、秋の終わりに届いた母からの手紙。その中には、円を描くようにぐるぐると同じ失敗を繰り返してきた自分のこと、しかしそれは角度を変えて見れば、上下する螺旋なのでは、という述懐。

2023-01-22 04:57:51
減るヤスミ @hel_yasumi

そして5年後の春。小森では地域のお祭りが開かれていた。その神楽舞台に、踊るいち子の姿が。小森での定住の決意の下、伴侶と共に彼女は戻って来たのだった。 季節は巡る。だけど新しい春は、少しだけ違って見えた。そんな心地良い風を感じさせるエンディングだった、リトル•フォレスト🍀

2023-01-22 05:25:24
減るヤスミ @hel_yasumi

ナイト•オン•ザ•プラネット(1991年) ジム•ジャームッシュ監督によるオムニバス映画。舞台はLA、NY、そして海を越えてパリ、ローマ、ヘルシンキと。夜の街、1台のタクシーに乗り込んだ運転手と客、それぞれの一期一会を描く。通奏低音は車の走行音。そんなbaseな、基本的で卑しい5つの路上の物語。 pic.twitter.com/T2pNCAci3d

2023-01-27 02:01:24
拡大
減るヤスミ @hel_yasumi

LA編。映画俳優のキャスティング業をするキャリア女性。新人俳優の登用に悩む彼女は、偶々乗り合わせた妙齢のタクシー運転手を、閃きで女優にスカウト。しかし、にべなく断られる。タクシー運転手には自動車整備工になる夢があったから。華美なる世界への憧れなどない、確かな人生設計がそこに。

2023-01-27 02:33:14
減るヤスミ @hel_yasumi

NY編。アフリカ系男性の乗客と、ベルリンの壁崩壊直後に渡米した、英語もろくに喋れないドイツ人男性運転手の話。運転手の下手さに、客が堪らずタクシーのハンドルを握る展開w😁 パリ編。コートジヴォワール出身の男性と、盲目の女性客の話。女性の鋭敏な感覚を通した世界に、運転手同様、興味津々😮

2023-01-27 03:00:58
減るヤスミ @hel_yasumi

ローマ編。異常なお喋り運転手が、タクシー客の牧師に、懺悔と称した数々の過ちを披露。そして招いた最悪の結果… ヘルシンキ編。北欧の寒い夜、一人の酔いどれを抱えた中年男たちが、同じく中年男の運転するタクシーに乗り込む。車中にむさ苦しい男が4人。そして繰り広げる、不幸な身の上話。

2023-01-27 03:19:06
減るヤスミ @hel_yasumi

そして映画は、長い夜を通り抜けて朝を迎える。 この作品、台詞はそれぞれの国の言葉。そして登場人物たちは言語だけでなく、社会的階層も、人種も身体状況も、性差も品性も家庭環境もバラバラ。そんな全然違う者たちの寄り集まりが、この世界なのか。 映画の原題は”Night on Earth" 夜の底の物語。

2023-01-27 04:05:32
0
まとめたひと
減るヤスミ @hel_yasumi

空気の底、無数に飛び交う信号。日々の雑記ですよ。