咳とともに生きて死んでいくと思っていた妹の咳が、ピタリと止まった。旅人が調合した薬が効いたのだ。「村の立葵で作った薬です」ーー親切な男に、村人たちは石を投げた。妖術師、と。男は出ていった。妹も一緒に。(いい縁を掴んだな)人目を忍び出て行く2人を、僕は黙って見送った。 #twnovel
2022-07-02 20:41:43#深夜の真剣140字60分一本勝負 @140onewrite お題: ①常に ②立葵 ③縁 でした 30分クオリティです(雑) pic.twitter.com/CeXDDqF6yH
2022-07-02 21:55:34曇天から悲しみの雨が降る。毎日毎日。僕は耐えられなかった。だからすべて投げ出し部屋に引きこもった。なのに君は僕を諦めずに誘い続けてくれたね。#twnovel カーテンを開けると、青い空に高く真っすぐに伸びる白い花が見えた。ああ、君のようだと思った。僕の梅雨を晴らしてくれた、眩しい人。
2022-07-02 22:00:35『常に 存えてみよ 立葵 君との縁 咲き上がるべく』授業の延長とは言え、宿題の短歌をホイホイ書けるはずはなく。あああ、自分が感受性豊かで、日常のほんの些細な出来事を丁寧に掬い取れて、心の機微を写し取る語彙力と、誰もが読後の爪痕の虜になる文章力を持ってたらなあ。短冊でお願いしてみるか。
2022-07-02 22:01:28あっという間に梅雨は過ぎ、夏がやって来た。眩しいほどの青空と全ての生物を干物にせんばかりの日差し。 あなたは麦わら帽子をかぶり、中庭で水やりをしている。 「今年も咲きましたね、立葵」 「ええ」 「きれい」 自分の背丈ほどもある植物を愛おしげに見つめるあなた。 「……きれいですね」
2022-07-02 22:02:30常にお仕えすると決めた、この葵の君に。立葵の花言葉、野望。 その名に違わず、彼の君は野心家だ。「何故お前は俺に仕える、俺が恐くはないのか?」「恐いなどと、私はただ貴方様に奉仕出来るだけで幸福なのです」本当は葵様と別の形の縁で結ばれたかった。恋情は消えないけど傍にいられるだけでいい
2022-07-02 22:03:23「ハイビスカスが咲いたら、夏だねぇ」上目遣いで眩しげに見ているのが、立葵なんだけど、僕は否定する気にはなれなかった。「常に、夏っていうのはどう?」「難しいこと言うねぇ。とこしえに栄えあれって?」白いワンピースで太陽を受けて笑う。知らないだろうけど、僕はベガ。縁の君を見つけたんだ。 pic.twitter.com/WNwSzZXmhr
2022-07-02 22:03:51私たちの物語は、はじめから全てが決まっていたの。夏祭りで出会い、海に映った満月がくらげに見える夜に幕を引く。私たちを結びつける運命という名の縁は、地獄の果てでも切れることはないでしょう。 そう言って女は男の手を優しく包む。そのままふたりは入り江に静かに足を踏み入れた。
2022-07-02 22:04:29縁は、求めていない時ほど繋がる。後々になりこの生が、縁に大きく左右されていたことを気づかされる。立葵を探してやっと出会ったのは、道の隅にしつらえられた小さな花壇だった。常に続くものとは、きっとそれほど自己主張をしない。体液が当たり前に流れるように、物静かでたしかな幸福なのだ。 pic.twitter.com/SA44JCycy4
2022-07-02 22:05:49参加させていただきます!素敵なお題をありがとうございます💘 お題は「常に(とこしえに)、立葵、縁(えにし)」でした! 初めてSSメーカーのルビ機能使いました(笑)そして異類婚姻譚的な雰囲気、好きなのでやっちゃいましたね……! #深夜の真剣140字60分一本勝負 @140onewrite pic.twitter.com/d4j0pb72Wg
2022-07-02 22:07:38人気のない路地で派手に転んだのを人に助けてもらい、それから数日後に同一人物と新しく通う学校で出会った時、私は初めて縁というものを感じた。 それ以来、ことある事にその人と出会う。しかも大抵の場合こっちが何かしらで困ってる時で、都合よく向こうが解決策を持ってて あれ?これ、縁というか…
2022-07-02 22:09:21引き離された天地は嘆き、絶えない雨によって繋がっていようとした。止まない雨に嘆く人々は巫女に頼った。巫女は立葵の花を指して言う。天辺の花が咲く頃、雨は止むであろう。人々は祈り、巫女は方々駆けずり回り、天と地を説得することに成功した。花は咲き、雨は止み、人々はますます巫女を崇めた。 pic.twitter.com/kSYK7nR0hp
2022-07-02 22:09:45今年も庭の立葵が美しい。私の背よりも高く、鮮やかな花を咲かせる。あの人も背が高かった。ずっと傍にいると約束したのにあの人は去ろうとした。愛するあの人を、あの女の元へ行かせるものか。時を止めたあの人は立葵の下に眠っている。これで私たちはずっと一緒だ、約束どおり。常に続く、二人の縁。
2022-07-02 22:21:13梅雨の晴れ間が広がるその日、用心棒の倉之助は油問屋の娘・佐代と橋のたもとで出会った。互いに好意を抱いた2人は、川沿いに立葵の花が咲いているのが目に入った。 不思議な縁を感じた倉之助は、自らの手で切り取った立葵の花を佐代に手渡した。佐代は、美しい花の姿に倉之助の優しさを感じ取った。
2022-07-02 22:24:12#深夜の真剣140字60分一本勝負 @140onewrite お題: ①常に(とこしえに) ②立葵 ③縁(えにし) #木槿国の物語 画員夫婦は相性最高?! pic.twitter.com/fHdazlvDzb
2022-07-02 22:43:37「これ、ハマナスじゃなくて立葵っていうんだ」 「何故間違えた」 緑の葉を太陽にさらし茎をまっすぐに伸ばし赤い花を咲かせた立葵を私と彼女は見ていた。学校帰り。 「解らない」 彼女と私には縁があった。気が合った。 ある日彼女は死んだ。交通事故で。あっけなく。 私は彼女を忘れない。常しえに。
2022-07-02 22:44:56#深夜の真剣140字60分一本勝負(@140onewrite) pic.twitter.com/6SwDCbeKTo
2022-07-02 22:47:01父の世話があり、外へ行けない私に、彼は家まで逢いに来てくれた。彼を見送るのは家からすぐの曲がり角まで。夏には立葵が風に揺れていた。夜は兄が来て父をみてくれるから、私は働きに出ることができた。父が亡くなり解放された私は、彼と常しえに愛を誓い合ったが、年が明ける前に別れた。これも縁。
2022-07-02 22:49:02