
#10歳からの経済学 マクロ経済学編: §1. お金の価値 (インフレとデフレ、良いインフレと悪いインフレ、経済成長と技術革新、政府の役割を考える)
2019-12-11 19:23:07
5年1組のみんなで、夏休みにキャンプ場に行って、林間学校をすることにします。 そこでは、みんなの食べるご飯はみんなで協力して作ります。 33人もいれば一つの立派な村ですね。 今回は、ただひたすら食材を手に入れ、食事を作り、それを食べる、それを毎日繰り返すだけの林間学校になります。
2019-12-11 19:54:15
目標は、全員生きて帰ることです。それから、ご飯をもらうときは、「お金を払って」交換してもらうカタチにします。 そういうロールプレイングです。 面白くないですか? 1日3食で、毎回同じメニューです。 皆さん頑張りましょうね。
2019-12-11 20:00:41
§1.1 悲劇その1:突然の死 33人の村人が1日に作ることのできた御飯の量は大体100合だった。1日に3回食べるので、33×3食=99食。切りがいいので。99合作ることにして、一人一回の食事で1合食べることにした。初めに配られたお金の量は9900Yenであった。
2019-12-11 20:11:45
一つの食事に付き9900Yen➗99=100Yen。このお金が食事を貰うごとに、配ってくれた人に渡された。とはいえ、みんなで作ってみんなで食べたので、各々が持っていた9900Yen➗33=300Yenは、一日経って確認しても300Yenのままである。全く、くだらない。
2019-12-11 20:26:12
ところが、4日めの朝、1人の村人が死んでいるのが発見された。死因は食中毒であった。 「そう。誰も試食していなかったのである。」 無謀であった。無検査で食品を製造販売していた。不良率はおよそ0.1%~0.5%である。林間学校は中断された。 pic.twitter.com/6eqq6YzGiG
2019-12-12 23:22:41

§1.2 悲劇その2:ゆるやかな死 前回の反省を込めて、今回はきちんと先生に味見してもらって、合格してから食事を販売しよう。1日99合作るので、1合を先生に提供して、残りをみんなで分けて食べることにしよう。これで大丈夫だ。
2019-12-11 20:42:33
ところが、日にちが経つにつれ、みんなの元気が少しづつなくなってきていた。どうやら一食98/99合では、みんなで頑張っても1日98合を作るのが限界であったらしい。毎日1合くらい先生にあげてしまっているので、3日目は(98/99)^2合、4日めは(98/99)^3合と、食事の量が減っていたのだ。
2019-12-11 20:49:40
村人は、「もともと1食=1合=100Yen」という決まりだったのだから、(98/99)^n合なら100(98/99)^n Yenしか払わなくていいよね。という気持ちになった。結果、1日に村人がもらうお金も、食事の量とともに徐々に減っていった。使われなくなったお金は、先生が責任を持って保管していった。
2019-12-11 21:06:17
やがて村人は全員栄養失調で死んでしまった。はじめにあったお金は、先生の独り占めである。 「緩やかな死。これこそ #デフレ である。」 お金はすべて先生の手に戻ったが、林間学校の目的は果たせなかった。
2019-12-11 21:10:15
§1.3 発想の転換:お寺の坊主の知恵 とにかく死んでしまっては元も子もない。先生は、近くの寺から住職を呼んだ。 「33人の村人を毎日健康に生かせてやって下さい。生かさず殺さずで。」 無責任に丸投げした。
2019-12-11 21:19:11
初日に坊主から村人へお願いがあった。 「毎日99合作るところを、儂が余計に(100/3=)33Yen払うから、みんなは99➕1/3合作ってくれ。それで儂が1/3合頂いて、問題がなければ、みんなは残りの99合を食べてくれ。」
2019-12-11 21:34:41
「1合=100Yenのきまりだし、余計にもらえならそのくらい余計につくれるな。」 おかげで、村人は毎日安定した食事を得ることが出来るようになった。林間学校は成功だろう。
2019-12-11 21:37:39
目的は達成するだろうが、「村にあるお金の量」に着目すると、毎日、坊主から少しずつもらっているので徐々に増えている。 村人は他にお金をつかうあてがないので、結局すべて食費として支払われる。初めは1食=1合=100Yenとしていたが、日に日に増えて1食=1合=約100(301/300)^n Yenで取引される。
2019-12-11 22:09:01
「30日経つと、1合=100 Yen が1合=約110 Yenじゃな。まあ、こんなもんじゃろ。」 毎日、安定した食事を村人に提供できた。これが #適正なインフレ である。名目成長率と物価上昇率が一致し、実質成長率はゼロである。
2019-12-11 22:16:00