
司法試験委員を通じて憲法解釈学の歴史を追いかけると、民定憲法論に基づく憲法有効論が圧倒的に優勢であり続けた事が知られる。だが、憲法有効論に対する異議を申し立て続けた学者が存在し続ける。憲法有効論に対する異議申し立ての代表として井上孚麿の憲法研究を紹介する。日本国憲法無効論小山常実 pic.twitter.com/cTBmtCZYbm
2022-12-09 08:48:01


【由緒来歴の正しくない日本国憲法】井上の憲法研究基礎編では憲法に対して成立過程の面でも内容の面でも歴史伝統に基づく事を求める。従って井上はデモクラシーがきちんと行われ個々人の自由が確保され治安が安定するためには憲法の由緒来歴が正しいつくられ方が必用とする。日本国憲法無効論小山常実 pic.twitter.com/2O3PlAhm7V
2022-12-10 09:55:28

井上は、憲法成立の仕方は憲法内容よりも重要とする。実際、世界の国々の中でデモクラシーが守られている英国、スイス、米国は由緒来歴の正しい憲法を持つ。ところが、他の国は英国等よりも進歩的・民主的な内容の憲法をもっているけれどもデモクラシーの運用に失敗している。日本国憲法無効論小山常実 pic.twitter.com/iYGl2yGWig
2022-12-11 12:42:33

井上はデモクラシーが失敗する理由をこう記す。憲法が「ない」のではなく「行われない」のである。行われないのは「守られない」のである。守られないのは守るに値する権威がないのである。権威がないのはその由緒来歴に無理があるのである。由緒来歴は直ちに憲法を殺活する。日本国憲法無効論小山常実 pic.twitter.com/1REMlSNFct
2022-12-12 07:05:19

由緒来歴に無理がある例として、井上は、革命憲法とクーデター憲法をあげる。井上によれば、人々は、暴力に対する恐怖等の理由から、これらの憲法に従うにすぎない。それ故、これらの憲法は、名は憲法であっても、実は暴利の切れ端に過ぎぬ事になる。日本国憲法無効論小山常実 pic.twitter.com/hbnFGqH4z1
2022-12-13 07:08:33

これらの憲法以上に由緒来歴の正しくない例として、井上は占領憲法を挙げる。革命憲法等の場合は、国内の暴力によって作られるわけであるが、占領憲法の場合は、国外からの暴力によって作られるからである。日本国憲法無効論小山常実 pic.twitter.com/hSVw1vzvFw
2022-12-14 07:22:30

歴史伝統の重視と言う事は、内容面にも求められる。従って、憲法の内容は、とりわけ根本規範は歴史的伝統から生え抜きのものでなければならない。別の言葉で言えば、真似をしないという精神こそ英国などから学ばなければならない事なのである。日本国憲法無効論小山常実 pic.twitter.com/EVbkPCeQGA
2022-12-15 08:14:51

では日本国憲法は歴史伝統に基いたものか。井上によれば日本国憲法は占領憲法の性格を持ち由緒来歴の正しく無い最たるものである。また歴史伝統から生え抜きのものどころか歴史伝統を無視したものである。それ故日本国憲法は成立過程の面でも内容面でも真の憲法とは言えない。日本国憲法無効論小山常実 pic.twitter.com/mr42WviYVt
2022-12-16 08:43:29

【人類普遍の道理にも反する日本国憲法】日本国憲法は人類普遍の道理にも反する。日本国憲法は個人には基本的人権を認めながら、国家には基本的国権をも否定する(第9条の戦力放棄)様な偏頗さが圧倒的であるから内容の面でも人類普遍の道理に反するものである。日本国憲法無効論小山常実 pic.twitter.com/kUO18pNtiB
2022-12-17 08:51:18

また、憲法成立の面でも、人類普遍の道理に反するものである。国家の憲法は、その国家の自由意思に基づき、その国家に既に存在する憲法の改正条項通りに作られなければならない。日本国憲法無効論小山常実 pic.twitter.com/NsNDGNGu9m
2022-12-18 09:54:34

しかし日本国憲法は、日本国の自由意志の無い占領下に明治憲法第1条から第4条までも改正の対象としていて、明治憲法第73条の改正手続きに違反して作られた。それ故、改正限界説に立つ井上からすれば、日本国憲法は、成立過程の面でも、人類普遍の道理に反しているのである。日本国憲法無効論小山常実 pic.twitter.com/bAqfiT12Ml
2022-12-19 08:17:02


【4つの無効原因】井上の展開する無効の理由は4点のわたる。最初の2点は、要するに、明治憲法第73条の改正手続きに違反して作られたから無効であると言うことである。第1に井上は改正限界説に立ち、改正限界を越えているから、少なくとも限界を越えた分は無効だとする。日本国憲法無効論小山常実 pic.twitter.com/5ON3nwFA8o
2022-12-20 08:02:48

第2に限界を越えたどころか帝国憲法を全面的に廃棄し全く新しい内容の憲法を作ったのだから無効だとする。そして欽定憲法論者と同じくポツダム宣言は憲法改正を要求するものでなく憲法制定権を天皇から国民に移動させるものではなかったとし8月革命説も民定憲法論者も退ける。日本国憲法無効論小山常実 pic.twitter.com/ZJHZQ3arYy
2022-12-21 08:42:40

後の2点は、要するに、日本国に自由意思が無かったから無効だ、と言うことである。井上は、民定憲法論者や、欽定憲法論者と異なり、自由意思が無かった事を最も重視している。日本国憲法無効論小山常実 pic.twitter.com/FS4zR52dfz
2022-12-22 07:18:19

第3に井上は、成立過程全般で不当な強制がなされたから、無効であるとする。そして、個々の強制の例としては、GHQによる憲法改正の指示、GHQ案の提示、議会審議中の強要をあげている。日本国憲法無効論小山常実 pic.twitter.com/y5zYqpuTac
2022-12-23 12:15:30

第4に占領期には一般・包括的な隷属関係が存在しており占領中は日本の国家統治権の機能は占領軍最高司令官に隷属させられてをり統治意思の自由は欠落するから無効である。以上4点のいずれか1つが存在しても、憲法は無効であるが、日本国憲法の場合は4点とも揃っている。日本国憲法無効論小山常実 pic.twitter.com/EaWpH1yo87
2022-12-24 08:58:48

従って文句なしに日本国憲法は無効であるという事になる。但し井上はいかなる意味でも日本国憲法は無効だとはしない。占領軍は占領を円滑にすすめるために占領期間中のみ適用される暫定法を作ることは許される。それ故、日本国憲法は占領期の暫定法としては有効なものだった。日本国憲法無効論小山常実 pic.twitter.com/FM4podLyA3
2022-12-25 09:09:45