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逆卷 しとね @_pilate

どういう機序なのか説明がないけれど、ともかくもようやく経口薬がぽつぽつ出てきた。これで一応、態勢は整ったのではないかと思う。bloomberg.co.jp/news/articles/…

2021-11-05 23:07:49
Takaya Suzuki MD, PhD @suzuki_takaya

ワクチン接種率が先進諸国の中では顕著に低いUSでは確かにゲームチェンジャーかもしれません。mRNAワクチンに数字上は近い「効果」が見られます。 ファイザー コロナ飲み薬 入院や死亡のリスク 89%低下と発表 | NHKニュース www3.nhk.or.jp/news/html/2021…

2021-11-05 23:28:52
Takaya Suzuki MD, PhD @suzuki_takaya

面白いのはこのPaxlovid(F-07321332)はHIVの治療でも使わえるRitonavirというプロテアーゼ阻害薬と一緒に投与されることです。この新規薬剤もプロテアーゼ阻害なので、おそらくダブルの影響というよりは、拮抗的にPaxlovidの代謝を抑えて濃度を高めるのかもしれません。

2021-11-05 23:28:53
Takaya Suzuki MD, PhD @suzuki_takaya

Gottlieb先生の言うように、たしかにこれで「COVID終了!」かもしれませんし、出るとしても耐性ウイルスがあるくらいでしょうか。メルクの薬が米国で1レジメン700ドルなので、どのくらいの価格でくるか。価格によって「終了」がどのように宣言できるかも変わってくると思います。

2021-11-05 23:28:53
Takaya Suzuki MD, PhD @suzuki_takaya

また米国・英国等以外の国での問題は、この薬をワクチン接種者に使うかどうか、そのあたりが臨床的に悩ましいところかもしれません。

2021-11-05 23:30:36
Takaya Suzuki MD, PhD @suzuki_takaya

さらに付け加えるとすれば、Anti-vaxナラティブの人も内服薬は全く違うリスク認識をしていることも多く、なぜか内服薬ならOKという人も出てくるかもしれません。いずれにしましても、COVID19におけるレムデシビルの役割は本当に終わったのかもしれません。

2021-11-05 23:33:07
Hironori Funabiki @HironoriFunabi1

臨床試験で重症化防止に極めて高い効果を示したPfizerの抗新型コロナウイルス薬であるが、その開発には奥深い科学の叡智が集積された結果であることが最近Science誌で公開された論文で知ることができる。とても勉強になったので少し紹介してみる。1/ science.org/doi/10.1126/sc…

2021-11-07 06:43:44
Hironori Funabiki @HironoriFunabi1

薬の標的はウイルスのメインプロテアーゼ(Mpro)。ウイルス増殖に必要な様々なタンパク質は、はじめ前駆体タンパク質(pp1a, pp1b)として結合された状態で作られる。それぞれ個別に機能するためには、タンパク質分解酵素であるMproが図の黒三角の部分を切断する必要がある。2/ pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33507143/ pic.twitter.com/vU7se42Kx4

2021-11-07 06:43:45
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Hironori Funabiki @HironoriFunabi1

Mproというのは、システインプロテアーゼに分類されるタンパク質分解酵素であり、システインというアミノ酸が触媒となってターゲットのタンパク質を切断する。さらに、Mproは、ターゲットのアミノ酸配列の中でグルタミンの直後を切断するという特徴をもっている。3/

2021-11-07 06:43:45
Hironori Funabiki @HironoriFunabi1

人類が持つ遺伝子の中で、グルタミンの直後を切断するシステインプロテアーゼは知られていない。つまりMproは人類固有のプロテアーゼには無い特徴をもっているので、その特徴を狙った阻害剤を見つけ出すことが期待された。4/

2021-11-07 06:43:45
Hironori Funabiki @HironoriFunabi1

実際、2002年のSARS流行時、PfizerはコロナウイルスSARS-CoV-1のMproへの阻害剤”1”PF-00835231を見つけていた。ところが、”1”は経口投薬した際の吸収率が極めて悪かった。5/ pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33054210/ pic.twitter.com/afUbz8ukXR

2021-11-07 06:43:46
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Hironori Funabiki @HironoriFunabi1

薬剤に水素結合供与体が多いと経口からの吸収が悪くなる傾向があることがしられていたので、水素結合供与体であるα-hydroxymethyl ketoneを、システインプロテアーゼ阻害に有効であることが知られていたニトリルとbenzothiazol-2-yl ketonesに変えた”2”と”3”を試してみた。6/ pic.twitter.com/Wy7WsBggVG

2021-11-07 06:43:47
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Hironori Funabiki @HironoriFunabi1

すると”2”は経口吸収効率は改善されたが、Mpro阻害能が激減してしまった。”3”のMpro阻害能は2”よりもさらに悪かった。”3”はMproの基質結合ポケットのグルタミン189との水素結合が”1”に比べて欠落してしまっていた。"1""3"ともインドール基がポケットからはみ出していたのも改善の余地があった。7/ pic.twitter.com/2VjTCtCCKp

2021-11-07 06:43:48
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Hironori Funabiki @HironoriFunabi1

そこで、”3”のインドール基をmethanesulfonamideに変えた”4”を合成したところ、”3”に比べてより高いMpro阻害能、培養細胞系でのウイルス増殖阻害能、ラットでの経口吸収効率がみられた。ただ、培養細胞でのウイルス増殖阻害能は”1”に比べまだ大分悪かった。8/ pic.twitter.com/ANntOmTf5E

2021-11-07 06:43:49
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Hironori Funabiki @HironoriFunabi1

“4” のmethanesulfonamideをtrifluoroacetamideに変えた”5”を試したところ、”4”に比べて劇的に培養細胞でのウイルス増殖阻害能が上昇した。経口吸収効率も極めて高かった。素人目には”5”は素晴らしい薬剤に思えるが、まだ終わらない。9/ pic.twitter.com/0PoEcfhU2L

2021-11-07 06:43:50
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Hironori Funabiki @HironoriFunabi1

“5”にあったbenzathiazol-2-yl ketoneを”2”で試したニトリル基に変えた”6”を試してみると、ニトリルは活性中心の触媒性システインと可逆性共有結合し、”5”よりも高いMpro阻害能、同等の培養細胞でのウイルス増殖阻害能や経口吸収率をしめした。 10/ pic.twitter.com/XAqlxdZN5Q

2021-11-07 06:43:51
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Hironori Funabiki @HironoriFunabi1

“5”よりも高い可溶性と化学合成のスケールアップの容易さ等から、”6”( PF-07321332)を臨床実験に使うことにし、動物実験での高い有効性も確認した。さらに様々な薬剤を肝臓で代謝するCYP3A4(シトクロムP450 3A4)によって、PF-07321332が代謝されることを明らかにした。11/

2021-11-07 06:43:51
Hironori Funabiki @HironoriFunabi1

CYP3A4はritonavir (RTV)という薬剤によって阻害できることが知られている。PF-07321332(250 mg)服用12時間前、同時、12時間後にritonavirも服用すると、服用12時間後の血漿中PF-07321332濃度は、ウイルス増殖を効果的に抑制できる濃度より十分高かった。12/ pic.twitter.com/F4uRoS4Lx8

2021-11-07 06:43:52
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Hironori Funabiki @HironoriFunabi1

昨日(11月5日)、ファイザーがプレスリリースで高い効果を報告したPAXLOVIDは、PF-07321332とritonavirの両方が含まれている。PAXLOVIDの効果は非常に期待できるが、ritonavirはヒトのCYP3A4に効くので、副作用も知られていることには注意が必要だろう。13/ nytimes.com/2021/11/05/hea…

2021-11-07 06:43:52
Hironori Funabiki @HironoriFunabi1

この2種類の薬を使うPAXLOVIDが、どのような値段で利用できるのかは、今後注視する必要があるだろう。メカニズム的には、ウイルス遺伝子変異を誘導するmolnupiravirよりは、変異型発生の誘導をしにくいと考えられ、不安が少ないように感じられるが、これも今後の研究が待たれる。

2021-11-07 06:43:52
Hironori Funabiki @HironoriFunabi1

以上、この治療薬を見つけるためのロジックに焦点をあてて紹介してみた。現代の科学では、過去の膨大な知識の積み重ねにより、目的のターゲットに特異的な薬剤をより早く作成できつつあることを実感できたし、とても勉強になった。これも論文で発表してくれたおかげである。15/

2021-11-07 06:43:53
カンパはプロフ欄🙏医師Daisuke Miyazawa宝塚 @blanc0981

@HironoriFunabi1 ファイザーの内服薬 CYP3A4阻害(分解を防止)出来る薬は他に沢山あるのに(クラリスとかタガメットとか)何でritonavir配合なのでしょうか? ritonavirはコロナに効果があるわけでも無いし、副作用もあるのに🤔

2021-11-07 21:41:31